第6話「俺と黒川。貧乏くじを引いたのはどちらか?」
黒川の
それを聞いた俺は
ベッドの中で、俺は
「いや、本当にそうだろうか?」
どうも、大井青子の家に張り込む前に黒川が言ったセリフが気になる。"ひょっとしたら、この事件の犯人と、青子さんのストーキング野郎は同じ人物かもしれない"彼は直前にそのような話していたからこそ、その線を考えずにはいられない。
——もしかして、アイツの言葉はただの
「まさか、冗談に決まっているじゃないか。……もしかして君は僕の思っている以上にピュアなのか?」
「まあでも、その可能性がないって断定はできなくなったのは確かだよね」
それらは、退院する黒川を車で迎えに来て、今度はそのまま真っ直ぐ警視庁へと向かっているその
「じゃあ、白崎くん。連絡したら、迎えに来てくれ」
「あ、いや待て黒川」
「なんだい」
彼は
「もし、今後。俺の忠告を聞かないで同じようなことがあった場合、俺はもうお前の探偵ごっこには付き合いきれない。
「ああ」
俺の言葉に、黒川は
「……僕はこれでも探偵さ。この仕事で何が一番大事かわかっているつもりだ」
彼は普段の様子からは想像できない真面目さで、静かにそのように答えた。しかし、黒川は何か誤解していると俺は確信する。だが、それを説教する時間はなかった。たとえしても、わからない奴にはわからないし、わかる奴は自分で気付く。だから俺は、
溜息を吐いて車に再びエンジンをかける。すると、黒川は窓を叩いて俺を呼び止めた。
「何だよ」
「そういえば僕も、一つ言い忘れたことがあった。僕の推理が正しければ——」
「正しければ?」
「今日も、彼女の部屋は荒らされているはずだ。つまり、君の携帯に連絡が来て、君は清掃員に
で、もしそうなったら
一つはそうなった場合、僕があらかじめ教えておいた電話番号に連絡してくれ。本物の清掃業者だ。
次に、もし彼女の部屋に『何も見つからなかった』としても。彼女の部屋は危険だと、僕は判断する。事務所の空き部屋にしばらく
「彼女の部屋が
「それは君の
はあ。はたして、貧乏くじを引いたのはどちらだったかな……」
黒川はそう言うと手を振って車の前から去って、警視庁の扉の中へと消えた。俺は彼の後ろ姿を見送ると、車を事務所に向かって走らせる。
その道中、俺のスマートフォンが
「すみません、掃除の依頼をお願いしたいんですけれど」
少し
さて。はたして、貧乏くじを引いたのはどちらだったのだろうか。
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