ミスティー

魂が揺れないと

良い人生にならない

俺はジャズ屋の親父

今日も店を開けている


「おい! ぬるいわ!」

「お前 ハイボールをなめとるやろ!」

いやいや 又 始まったわ

まだ 店開けて5分やで

俺がジャズ屋を始めたと誰かに聞いて

ちょくちょく店に来る 中学校の時の先輩ただ。

なんやかんや いいががりををつけてくる。

今日はハイボールやわ

「おい」

ハイ!

おい!なんでお前が返事するねん!

アルバイトの平山がいつのまにか俺の横に来て直立不動で立っている。

先輩の「おい!」に

思わず反応して答えてしまって

汗を拭きながら、ありがとうございますー!

「お前 さっきからなんやねん!

答えんでもええとこで答えて 何がありがとうございますや!

どない思てるねん」

【恐縮です】

???

「恐縮やとお前はなんでもいうたらええんと違うぞ!

とにかく 作り直せ!」

申し訳ないと言いながら 平山が作り直したハイボールを先輩が一口飲んだ。

「あほー!氷が尖っとる。バラバラや

このグラスの中に入っているもんが全て溶け合って美しいハーモニーを奏でて初めてハイボールや!お前らなんもわかってない。今日は帰る!」

扉が 激しく音を立てて閉まった。

ホッとして隣の平山を見ると

腕を組んで仁王立ちをしながら

「帰りましたね」と


お前の事 よーわからんわ

とにかくグラスを片付けてくれ

平山は「はいよ」と

ほんまこいつはわからんわ

殴ったらかな




時計を見ると11時半

ライブはお客様さんはたくさん来たけど

内容はボロボロやったわ

皆 ばらばら 

楽器は上手いけど

合わせようとする気持ちがない。

だから聞く方は辛くなる

音楽は一つ

まとまって言いたいこと一つ


一つなら

聴ける

上手いのはわかるけど

そんなのは聴く方には関係ないわ

まとまって

はじめてハーモニー

あれ?

どっかで聞いたな?


先輩の言葉やん



明日もお店開けて待ってます

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