第3話
今日も今日とて平和な1日であった。今日はテスト返しということもありいつもより学校の雰囲気が悪くテンションが低い感じがしたが、俺は違う。
生徒会長たるもの、威厳が大切である。どんだけ俺が貧乏で金なしでも勉強はできる。
強いていえば俺はこの学校で1番頭がいいだろう。
生徒会も今日はおやすみ。少し早めに部室に出向くことにした。
ここまで俺が部活をしていてわかったことがある。まず、ドアを開けた時驚かないこと。あいつは、よくわからんことを叫んでおり狙っているのか俺が入った時に限って意味不明な言葉を陳列させている。
心の準備。大きく吸って、吐いて。吸って吐いて。よし。ん?
今日はやけに静かだな。
ガチャ。
「今日はやけに静かだな」
「…………あわわわわわ」
何やら窓を開けて外を見ているようだが完全に様子がおかしい。どうしたのだろう。
「何かあったのか?」
「会長。どうしましょう」
「どうした?」
いつになく落ち着きのない様子で目をさ迷わせている。手をあたふたさせて完全にキョドっている。
外からなびいてくる風がカーテンを翻して青春の1部を切り取ったような光を外から連れ込んでくる。ああ、いい天気。
「テスト用紙を紙飛行機にして投げて遊んでたら外に出て、山田先生の頭にクリーンヒットしました」
「なにぃー!!!」
何やってんだよ。山田先生といえばかの有名な、炎龍テオ・テス○カトル、じゃなくて、強面野球部監督兼鬼コーチ。その凄さはこの学校の野球部を甲子園まで連れていくというスーパー監督。怒ると部員がチビっちゃう程度にやばいと名高い。
「いや、理由を説明して返してもらえば」
「それが、私テスト赤点なんです」
「なにぃ!!」
赤点。あの有名な。今回のテスト赤点でも30点以下。嘘だろ。
「なんの教科だ?」
「数学」
「山田が担当じゃねぇか!」
「そうなんですよぉ。しかも私のクラスの教科担任なんです」
「詰んだな」
「ふぇぇ、何とかしてください」
いや、なんとかしてくださいとか言われても。この前怒られたばかりじゃないか。て言うか嘘泣きやめろ。見えてるぞ目薬。隠しても無駄だよ。
ごしごし、涙(嘘)をふいてキリッと目をしばたたかせる。
「分かりました。こうしましょう」
「どうするんだ?」
一層こわばった表情になり人差し指を立てて提案してきた。
☆☆☆☆
「や、山田先生少しいいですか?」
俺が声をかけると機嫌悪そうに振り返り俺を軽視する。
「ん?」
あいつの提案してきた事とは。
『会長さんが、タゲ取り。敵とエンカウントしたら即攻撃態勢。あとは相手から物をルーターそれは私がやります。私達はパーティーです』((訳)会長さんが、ターゲットの座標になり山田先生と遭遇したら話をして気をそらす。その隙にテスト用紙を奪っていく。私達は仲間だよ。)
『言ってる意味がわからん』
『とにかく、頑張ってください』
とのこと。
言ってることはよく理解できなかったが、まあ、何となくわかったような気がする。
後ろの草木に隠れて未来が様子を伺っている。テスト用紙は先生の右後ろポケットに入っている。丸めてあるテスト用紙を見て未来が安堵のため息をつく。
「す、少し話があって」
話を逸らすのが俺の役目らしいからな。頑張らなければ。
「後にしてくれ」
て、手強い。このままではミッション達成できない。
もう少しねばらなくては。
「あ、あのお願いします。数学でわからないところがあって」
「ほお、ならば少し話を聞こう」
«クリティカルヒット»
・クリティカルダメージ。致命的な攻撃。
よし。先生は、勉強熱心な生徒は置いていけないたちだから。この調子で行けば。
その時、横目に見ていた野球部がフライを落としてしまう。
「こらぁー! 中村! 何をしている!」
やばい。野球部の方に目がいってしまった。は、話を、話題を提出しなければ。
ああー。未来は何をしているんだ、怖がるな出てこい。今がチャンスだ。お前ルーターだろ。
「お前も、話はあとだ」
機嫌を損ねてしまったようだ。ここで男を見せるところだ。
「お願いします。次のテストはいい点取りたいんです!」
«レジスト»
・抵抗すること。レベルの高いプレイヤーや状態異常体制持ちが他者から受けた攻撃が聞かないこと。
頭を下げて必死の抵抗。粘るんだ俺。未来の為にも。
「そ、そこまで言うなら少しだけだぞ」
「ありがとうございます!」
いまだ、話をしている今しかない。行け! 未来!
…………おい、何やってんだよ。出てこい。ビビるなよ。何草むらでビクビクしてんだよ。早く出てこい! よし、そうだ、あと少しで届く…………ああー! 何戻ってんだよ。あと少しだったのに。
「ん? 後ろばかり気にしてどうした?」
「あ、いいえ! あー、ここわっかんねぇ!」
「ん、どれどれ」
«パリィ»
・攻撃を受け流すこと。パリングとも言う。
上手く先生の攻撃を受け流した。
よし、このまま行けば!
瞬間。どこからともなくボールが飛んできた。俺めがけて飛んできたボールが俺より背の高い山田先生の頭に直撃した。
«ヘッドショット»
・頭への直撃。ゲームよっては一撃で死亡。
「ああ?」
「せ、先生落ち着いてください。ああー! ここわっかんねぇ!」
「誰だ今俺にあてたやつ!」
ズンズンと足音のしそうな勢いで野球部員の方へ歩いていってしまう。おしまいだ。未来のテスト用紙は帰ってこない。残念。というか俺はなんでここまで身を張っているのだろうか?
おいこら! そろそろ草むらから出てこい。
「ん? なんだこれ」
そこに落ちてたのは紙? 広げてみると3点と赤く書かれていてその横に『米屋未来♡』と書かれている。これは、あいつの答案用紙。
«ドロップ»
・敵を倒すとアイテムが落ちる。落ちたアイテムをドロップアイテムと言う。
「ああー、ありがとうございます」
「おい、次からはきよつけるんだぞ」
「はい!」
返事だけはいいことだ。
「して、この点数はなんだ?」
「ひぃ!」
「お説教だ! 今から勉強を教えこんでやる!! これでは、部の存続にも関わるぞ!」
「ひぃーこんな所に古龍クシャル○オラがぁぁー!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます