第16話 K=??

 俊太は僕が杏南から受け取った手紙を僕から受け取り、恐る恐る中身を開いて読み始めた。

 そして、読み終わった俊太は、何かを決意したように真っ直ぐな瞳で僕とKさんを見つめて、立ち上がった。


「たいち、Kさん」

「ん?」

「?」


 俊太は目を瞑り、覚悟を決めたように目を見開いた。


「おれ、行ってくる」


 そう俊太が告げると、僕とKさんは顔を合わせニコっと口角を上げて俊太に向き直る。


「そうか。」

「行って来い!」

「はい!」


 僕たちがそう告げると、俊太は一目散に走って食堂を後にしてどこかへ向かっていった。


「達者でな、俊太殿」

「たく、あいつは…」


 やれやれと言った感じで俊太の姿が見えなくなった食堂の入り口の方向を向いていると、Kさんから声を掛けられた。


「ところで、お前はどうなんだたいち?あれから、みかやんって子とは?」

「まあ、Kさ・・・いや、慶太先輩のおかげでうまくいってます。でも、どうしてあんなウソの演技までしたんですか?あやの先輩に俺と1週間だけつき合ってる設定にして演技してくれーなんて頼み事までして。」


 Kさんないしは慶太先輩は腰に手を当てて高々と言い放った。


「それは、最愛なるたいち殿のために決まってるじゃないか…」

「慶太先輩…」


 僕は慶太先輩を尊敬のまなざしで見つめた。やっぱりこの先輩はいつ見てもかっこいい。


「たとえ・・・たいちに女の子ができたとしても、俺たちの愛は不滅さ」

「先輩…」


 女子に言うようなきざなセリフを堂々と僕の前で宣言して僕と慶太先輩は見つめ合った。あぁ、やっぱり僕と慶太先輩は最愛の親友である。改めてそう感じた。


「あ!!見つけた!!こらぁ、橋本ぉぉぉ!!!」


 すると、食堂の入り口の方から甲高い怒鳴り声と共に猛スピードで向かってくる栗マネージャーの姿があった。



「やべぇ。栗だ!逃げないと」


 慶太先輩は椅子から素早く立ち上がると、栗マネージャーとは反対方向へ走りだす。


「お気をつけて」


 僕がそう言うと、慶太先輩は僕にウインクをしてその場から逃げていった。


「あ!こら、逃げるな!」


 大栗先輩が慶太先輩の後を追っていき、食堂に再び静観が訪れた。


 すると、僕のスマホの着信が響く。

 スマホの画面を確認すると、僕の大切な人からの電話だった。


「あ!みかやんからだぁ~♪」

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