第15話 手紙

たいちは、一枚の手紙を俺に渡してきた。


「手紙??」

「杏南から。」

「え?」


俺は驚いてたいちの顔を見る。たいちはニコっと微笑みながら口を開いた。


「実はな…」





「海外かぁ~大変そうだけど、頑張ってね!」

「うん。今までありがとね。」

「おう!」


放課後、僕は杏南ちゃんにお別れの挨拶を交わしていた。


「ねぇ、俊太どこいったか知らない?」


杏南はキョロキョロと教室を見渡していた。

俊太は杏南と顔を合わせるのが気まずいのか、よく教室にいないことが多かった。


「ああ、あいつ最近授業終わるとすぐ教室から出てどこか行っちゃうんだよ。鞄はあるみたいだし、まだどこかにはいるんじゃないかな。」

「そっか、じゃあ、もし見かけたらこれ渡しておいて。」


すると僕の手に杏南は何かを手渡してきた。僕は手に渡されたものを確認する。


「手紙?」

「うん、もし…俊太が私に会いたそうにしてたらその手紙を読め―!って言っといて」

「うん、わかった」




「ってな。」


そう言われ、僕は教室を後にして俊太を探した。すると、食堂で落ち込んでいる俊太を見つけ、今に至ったことを説明した。



「あいつ…」

「ほら。」


俺はたいちから手紙を受け取り、恐る恐るその手紙を開き読み始めるのだった。

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