第14話 K
俺は一週間前の出来事をたいちに話した。
たいちは真剣に俺の話を聞いてくれていた。
そして、話し終えると、俺の背中をバシっと叩いた。
「はぁ…ったくよ。お前らは相変わらずだな…」
たいちは全くっと言ったような表情を浮かべていたが、俺の後ろの方を見て、何かに気が付いた。
「お、来たな。おーい!こっちこっち!」
「?」
俺が後ろを振り向くと、食堂の入り口の方から男子生徒が一人こちらへ向かってきた。
「ごめんごめん。」
その男の人は、メガネで根暗そうな格好をした男であった。俺はその姿を見てはっと言うように指を指した。
「あなたは、こないだの!」
「よよよ?君はいつぞやの?」
メガネを上げ、俺をまじまじと見てきた。
「なになに?二人はお知り合い?」
たいちが不思議そうに二人の間をキョロキョロと眺めていた。
「知り合いというか…」
俺は前にあった、メロンパン事件の出来事をたいちに話した、
「なるほどねぇー、その時の人がKさんだったと…」
「紹介遅れました、ネームKです。普段たいちくんとはゲーム仲間でハンドルネームで呼び合ってます。」
恐らく本名を教えたくないのであろう、俺はそちら側に合わせることにする。
「Kさんですか、よろしくお願いします」
俺がペコリと挨拶をすると、Kさんは再びメガネの淵を持ちあげて、じぃっと俺を見つめた。
「それで?なんで落ち込んでいたのですか?」
「えっと…実は…」
俺は今までの一連の出来事を大まかにKさんに話した。
「なるほどねぇー。それで、君はその子には会いにいかないのかい??」
「えぇ…今さらあっても、話すこともないですし…」
「お前まだそんな言い訳してんのか!!ずっと好きだっだんだろ!会いたいんだろ!」
たいちが、俺の肩を掴んで揺らしてきた。
「まあ、落ち着きなされ、たいち殿」
「K…」
Kさんはたいちを優しくなだめると、にこやかな微笑みで俺のを方を見つめた。
「俊太君、正直に答えてくれ。君はその杏南ちゃんって子が好きなんだね?」
俺は俯きながらも、コクリと頷いた。
「ホントにもう会わなくていいんだね?」
「俺は…」
俺は胸の奥底から何かがこみあげてくるような感じがして、気が付いた時には何かが吹っ切れたように目頭を熱くしながら言葉を発していた。
「俺だってあいてーよ!でも…でも、もう会っちゃいけないんだ…」
「どうして?」
「君はここであわなかったら一生後悔するよ?」
「俺は…俺は…」
俺は自分の手を握りしめながらプルプルを震えながら必死にこらえていた。
「ほら、俊太」
すると、たいちがポケットから何かを取りだして俺に渡してきた。それは一枚の手紙だった。
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