第11話 黒幕
食堂で3人でしばらく待っていると、みかやんから連絡がスマホのトークアプリでメッセージが届いた。
『たいちくんになぐさめてもらったからもう大丈夫だよ』という内容だった。
「みかやん、もう大丈夫みたい」
「そっか、よかった。」
「よかったー」
杏南も俊太くんも肩の力を抜いて、ほっとしたような表情を見せた。
私もふっと息を吐いて安心して肩の力を抜いた。
「教室戻ろっか!」
「そうだね」
「うん、行こうか。」
私たち3人は、席から立ち上がって、教室へ戻るため食堂を後にする。
食堂を出て、教室に戻る途中私はふと立ち止まった。
杏南と俊太くんが私の気配がないのに気が付いて振り返った。
「ゆいゆいどうした?」
「ごめんね、私ちょっとお花摘みに行ってから教室戻るから先に帰ってて。」
「おっけい。じゃあ後で。」
「うん、バイバーイ」
私は手をヒラヒラと振りながら二人が教室へ帰って行くのを見送った。
角を曲がり、二人が見えなくなったのを確認して私はスマホのトークアプリを開いた。
『フラグは立てたわ。』
『そうか。』
『これからどうするつもり?』
『予定通り計画を実行するつもりだ。』
『そう、わかったわ。』
『必ず有村杏南のために藤川俊太は行動を起こすことになる。それは間違えない。橋渡し役、しっかりと頼んだぞ。』
『えぇ。』
私はトークアプリを閉じて、お手洗いへと急いだ。
私は一人で歩いているときに杏南と俊太の腕が触れ合ったシーンを思いだした。
その時に私はニヤリと笑って見つめていた人物こそが、これから起こる出来事をすべて操っている張本人であることは知る由もない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。