第8話 美男美女カップル!?
この話から、視点移動があります。
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「きゃー♡慶太先輩こっちむいてください!」
「ちょっと、みかやん…」
慶太先輩は、みかやんの方を振り向くと、白い歯を見せながらにっこりと微笑んだ。
「はぁ!ねぇ、今こっち見たよね、絶対見たよね♪」
「そうかなぁ?」
その様子を席に座りながら俺と杏南は眺めていた。
「みかやん慶太先輩って人の大ファンなんだな。」
「まあ…ね…」
杏南は何故だか目を泳がせながら浮かない顔をしていた。
「ん?どうしたんだよ、そんな浮かない顔して。」
「いや、別に。」
杏南は俺から目線をスッと逸らして苦笑いを浮かべていた。
「きゃー♡」
すると、食堂の入り口の方から再び女子生徒たちの甘い歓声が聞こえた。
俺は食堂の入り口の方に振り向いた。
俺が振り向いた直後に入口の方から慶太先輩の方を見つめ、ゆっくりと向かっていく女性が一人いた。
「・・・え?」
「あ…」
みかやんは驚きを隠せないと言った表情をしており、ゆいゆいは罰が悪そうな表情を浮かべていた。
「?」
俺は状況が把握できずに首をかしげながら、その様子を眺めることしか出来ないなかった。
先ほどの女性は、年相応の顔立ちではあるが、くりっとした目に、ちょこんとした高い鼻に、プリっとした唇の顔立ちに、髪を後ろに結び、サラサラの黒い髪をなびかせ、スっとした姿勢は美少女そのものであった。その美少女は、ニコっと微笑みながら慶太先輩の元へ到着した。
「けーた、会いたかったわ」
「ああ、俺も君に会いたかった」
「きゃー!♡♡」
二人は仲睦まじい様子でお互いに見つめ合いながら会話を交わした。その姿を見た女子生徒たちがさらに歓声を上げる。
「あの、あやの先輩とけーた先輩が?!」
「うそぉ!」
「きゃー♡」
女子生徒たちは目を♡にしてその二人の姿をうっとりと見つめていた。
「あの女の人だれ?」
「はぁ?!あやの先輩を知らないの?!信じられない!」
「ぅぅ…」
杏南に睨みつけられながら罵倒のような声を上げられ。俺は思わず縮こまる。
「学内の中でも最も美しいとされ、男子だけでなく女子からも一目おかれるあやの先輩よ!」
「そうなのか。」
「そうよ!でも…」
「でも?」
杏南は、罰が悪そうな表情を浮かべながら俯いた。
「あやの先輩と慶太先輩が付き合っていたの知ったのは最近で…その…みかやんには黙ってたんだよね…」
「あ。なるほど…」
杏南が先ほどから様子がおかしいと思っていたのはそういうことか…と理解した。
「…」
そして、相変わらずたいちは、俯きながら黙りこくっていた。
「いつもの場所で待っているわ」
「ああ。」
あやの先輩は、慶太先輩に一言そう言い残し、慶太先輩の元を離れた。
「…うそでしょ・・」
「みかやん…」
みかやんは、現実を受けられないようにその場から走って立ち去っていった。
「みかやん!」
ゆいゆいが手を伸ばしたが既にみかやんは物凄い勢いで食堂を後にしてしまった。
◇
みかやんが状況を受け入れられずに食堂から走り去っていってしまった。
その姿をポカンとした表情で呆然と俊太と有村さんは眺めていた。
僕は思わず席を立った。そして、慶太先輩の方を見た。
慶太先輩も僕の方を向き、目が合った。みかやんが走り去っていった方へ首を振り。「行け!」と指図してきた。
僕はコクリとうなずき、みかやんの後を追う。
俺が慶太先輩の前を通り過ぎるとき、慶太先輩は「達者でな」とでも言ったかのようにウインクをして笑顔で僕を見送ったのだった。
◇
みやかんが走り去り、すぐにたいちが立ち上がり、みかやんの後を追っていった。
これで、席には俊太と杏南二人になった。
「いっちゃったね」
「そうだな」
ポカンと席で呆然となっていた二人の手が触れ合った。
「あ!」
二人の手が触れ合うと、お互いにヒュっと手を引っ込め、見つめ合う。
「わりい」
「ごめん」
二人はその後しばしの沈黙が生まれ、お互いに目を逸らしてしまう。
「…」
心なしか、お互いの頬が赤くなっている気がした。
私は、その一部始終を睨みつけるように目撃していたのであった。
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