第4話 幼馴染がこんなに可愛いわけが・・・

俺は男の人から貰った限定メロンパンを手に握りしめ、一目散に教室へ走った。階段を登り切り、教室の扉を開けた。

しかし、そこには杏南の姿もみんなの姿もなかった。

「あれ?」


息を切らしながら時計を見ると、既に予鈴の時間を過ぎており、次の授業へ移動教室に行ってしまったようであった。


「はぁ~」


俺はその場で脱力してうなだれた。


「何そこでへこんでるの?」

「?!」


俺が振り返ると、教室のドアに寄りかかった杏南がいた。


「お前…」

「あ、ほんとに買ってきてくれたんだ」

「…おう」


杏南がこちらへ近づいてきたので、俺は手に握りしめていた限定メロンパンを杏南に手渡した。


「じゃ、これもらっていくね。移動教室だから先いくよ。あんたも早く用意しなよ」

「…おう。」


杏南は教室を出ていこうとしたが、出口の前で立ち止まった。


「俊太…」

「ん?」


杏南は、俺の方へ向き直り、目線を泳がせつつ少し頬を染めながら、


「…ありがと…」

とぼそっと言ったのであった。杏南はそれを言い残し教室を出ていった。

俺はしばらくポカンとしていたが状況を徐々に理解して頭がフル回転した。


(ウソだろ…いや、嘘だありえねぇ。…杏南が…杏南がこんなにかわいいわけがねぇー!!)

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