第46話 それぞれの場所へ

 そして


 全ての修復が終わった頃には、外がすっかり暗闇に包まれていた。


「皆さん、ありがとうございます。それから、ご苦労様でした」


「いえ、私達にそんな言葉を頂くなんて勿体無い。私達はお嬢様の為なら、何時でも出動出来る準備をしていますので、何なりとお申し付け下さい」


 神凪生徒会長の労いの言葉に、黒服のリーダーらしき人物がそう答え、恭しく頭を下げその場を去っていく。


「うーん、やっと終わったね」


 両手を上に伸ばし、大きく背伸びをしている茜に和哉が茶々を入れる。


「ガキんちょ、おまえ何もやってないだろうが?」

「ガキんちょ、言うなって言ってるだろ!」


「ガキんちょはガキんちょだよ!」

「何だって!」


 さすがに、神凪生徒会長も困惑した表情で二人を止めに入る。


「ほらほら、二人ともいい加減にしなさい」


 まるで犬の喧嘩のように顔を突き合わせている二人の間に入り、話を続ける。


「それでは、私と茜は本社の方に一旦戻ります。皆さんはどうされますか?」


「私は妖魔界に戻って今回の件を調べてこようと思っている」


 月白はそう答えると、窓から外に出て宙を駆け出していった。


「わたしも精霊界に報告がありますので失礼致します。和哉さま、浅葱が居なくてお寂しいでしょうけどすぐに戻って参ります」

「わかった、わかった」


 和哉が面倒くさそうに答える姿を見ながら、浅葱はその場から消えていった。


「それで和哉はどうするの?」

「あぁ、俺か? 俺も本家の方に報告に行かなきゃいけないかな。なんせ、これを使っちまったからな」


 両手にある金銀の双銃をそっと腰のホルダーにしまう。


「本家?」


 不思議そうな顔をしている僕の首に腕を回し、和哉は僕を自分のところに引き寄せ小声で話す。


「今度、長い話になるかもしれないけどゆっくりと話してやるよ。御代志和哉の物語を」

「うん。わかった」


 和哉が自ら自分の話をしてくれるというので、僕は嬉しくて満面の笑みを浮かべると、和哉は逆に照れたようにそっぽを向いてしまった。

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