第42話 妖魔界の後継者

同刻 精霊界 ブランシュ宮殿


「未來くんと紅緋は大丈夫かしら?」


 アリシアはまるで自分の子供たちを心配するかのように、そわそわ落ち着かない様子で、目の前にある水晶の板に映し出されている人間界での二人の姿を見つめている。


「大丈夫ですよ。私がしっかりと二人に戦い方を教えましたから」


 アリシアの狼狽えぶりに反して、横で未來たちの姿を見てジョーカーは柔かに微笑んでいる。


「本当に何から何まで手伝っていただいて……すみません」

「いえ。これは私にとっても重大な事なので、アリシア様が気遣いなさることはありません」


「そうでしたわね。ジョーカー……いえ! 妖魔界後継者の一人 スパークル ブルー」

「あはははは……、アリシア様の前ではこんなメイクも無意味ですね」


 ジョーカー、いや、ブルーは顔に手をかざしそこから手を下ろしピエロの服を剥ぎ取った。


 ジョーカーからブルーに戻った姿は青色の艶やかな真っ直ぐな髪に、真っ白な顔に意志の強そうな青色に輝く眼、柔らかな素材の白いシャツをラフに着こなし、青色のスリムなパンツを履いていて、髪が青い事以外は普通の人と見分けがつかない。


「アリシア様、私はもはや後継者ではありませんよ。それに後継者として最もふさわしい人物がもう居ますから」

「あの後継者争いでは多大なる犠牲を出しましたからね」


「はい。だからこそ、我が弟 未來に妖魔界、精霊界、人間界の三界の平和と安定を託したいのです」

「そうですね。これは多分、新未來にしか出来ないことなのかもしれませんね」

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