第41話 まだ諦めるな!
「和哉! まだだ! まだ諦めるには早すぎる」
ゆっくりとスローモーションのように流れる自身の最後の時間に、無理やり割って入る聞き覚えのある声がする。
「……未來!」
教室の何も無い空中に、円形に書かれた色々な文字が浮かんでは消えていく、その文字列の幅がどんどん広がり、その部分に空間を開けて色とりどりの光を撒き散らす。
そしてその光の中から、一際明るい青白い光が和哉たちに向かって伸び、蛇の少年が放った紫色の光を飲み込み消滅させた。
光を放っている穴は徐々に小さくなっていき、穴の前に立っている二人の影が姿を形どっていく。そこに立っていたのは未來と紅緋だった。
「未來!」
「紅緋ちゃん!」
和哉と浅葱は声を上げる。
二人は顔に笑みを浮かべ、その姿は少し成長したように自信に満ちていた。そして、揃って和哉と浅葱に頭を下げて謝る。
「ごめん。和哉、また迷惑かけた……」
「ごめんなさい。浅葱、私も迷惑かけた」
未來の言葉を聞いた和哉は口角を上げ、本当に嬉しそうに答える。
「謝ることなんてねえ。久しぶりに二人揃ってる明るい顔を見れて嬉しいよ。話したいことは沢山あるんだが、まずはあれをなんとかしないとな……」
和哉は教壇の上に立っている少年を指した。
「大丈夫! 僕たちに任せて!」
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