第43話 決戦①

 放課後 私立翡翠高等学園 二階教室


 蛇の妖魔の少年が放つ紫色の光を、僕はジョーカーから教わった青白い光で打ち消す。



『ジョーカーさん! 僕に妖魔と戦える方法を教えてください!』


『未來くんはどうして妖魔と戦いたいと思っているのかい?』

『それは……色々な人を助けたいと思うからです』


『うーん。曖昧な答えですね』

『人を助けたいと思うことが曖昧なんですか?』


『いえ。そうは言ってないんです。人を助けたいという気持ちは大切なことです。しかし、それだけでは未來くんの力は発動しない』

『では、どうすれば……』


『そうですね、未來くんが以前、私と戦った時に手から発現した光の事を覚えているかな?』

『はい』


『あの時、未來くんは何を思った?』

『紅緋を守りたい。ただそれだけを思ってました』


『では、だれかを守りたいから戦う。その強い思いが、未來くんの心に反応して光を導き出す。そして、その思いが強ければ強い程より強力な武器となる』



 そうだ! 僕は今、和哉を守っていつものように笑いあいたい!

 そして、蛇の妖魔を倒して日常を取り戻す!


 僕は心で念じる。

 和哉を守りたい! 和哉を守りたい! 和哉を守りたい!


 僕の気持ちに呼応して放たれた青白い光は、一層輝きを増して妖の少年の身体を捕らえる。その光の中で、少年は思うように身動き取れずにもがき苦しんでいる。


「紅緋!」

「分かった!」


 紅緋は手のひらに出した炎をどんどん大きくしていく。


『紅緋、君の武器は炎だ。その炎を全ての悪を断ち切れるように育て上げろ。そうすれば、新しい成長した炎の武器を手に入れる事が出来るだろう』


 やがて炎は、刀身の長い剣へと姿を変える。


「未來! 準備はいいよ!」

「いけーーーーっ! 紅緋!」


 紅緋は僕の後方から跳び上がり、妖魔の少年に向かって炎の剣を振り下ろす。


「ハァーーーーーーッ!」


 炎の剣は少年の頭の上端部を捉える。


「ぐぁ〜〜〜〜〜〜」


 少年は歪んだ顔をして苦しんでいたが、その姿はやがて本来の蛇の姿に変化していく。その蛇を、紅緋の炎の剣が頭から胴体を真っ二つに切り裂いていった。

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