第37話 和哉VS蛇の少年
同時刻 私立翡翠高等学園 三階渡り廊下
「オン マユラ キランディ ソワカ」
「孔雀明王よ。人々に厄災や苦痛を与えし魔を取り除け!」
御代志和哉は未來から受け取った棍を右手に持ち、そう言葉を唱える。すると右手の棍は次第に金色の銃へと形を変える。
和哉は右手に金色で義覚と刻印された銃を、左手には銀色で義玄と刻印された銃を持ち、少年の姿をした蛇の妖魔に向かって構える。
「浅葱! 待たせたな。下がっていいぞ!」
「はい! 和哉さま」
エナジーソーサーとエナジーウォールで妖魔に対していた浅葱は、和哉の後方へと下がった。
「オン シュリ マリ ママリ マリシュシュリ ソワカ」
「烏枢沙摩明王うすさまみょうおうよ。烈火の炎で不浄のものを焼き尽くせ!」
和哉がそう唱えると、手に持っている金色と銀色の銃口が赤く光り火を噴き始める。
二丁の銃から発射された炎の弾は、少年の蛇と化している両腕を、蜂の巣のように撃ち抜き消滅させた。
「ほぉー、その刻印とその真言、密教、いや修験道の者なのかな?」
腕が無くなった筈なのに少年の姿の蛇の妖魔は平然として、いや、口元に薄笑いさえも浮かべている。
「そんなのお前の知ったことか!」
和哉は構わずに、少年の妖魔に対して炎の弾を放つ。妖はその弾を上半身を左右に振って避けた。
「さてと、僕もそろそろ本気を出そうかな?」
少年の姿をした蛇の妖魔の両肩がむぐむぐと動き出し、無くなった筈の左右両腕が生えてきた。
そして、その再生した腕の掌を開いたり、閉じたりして、しっかり動くことを確認している。
「面白いでしょう。妖魔は人間と違ってこんな芸当も出来るんだよ」
そう言うと右手の掌を突き出す。
「
少年の掌から真っ黒な塊が発射され、和哉の左の耳をかすめるように壁に着弾する。壁には直径50センチくらいの大きさの穴が開いて、粉砕された壁の粉塵が外からの風によって廊下に舞い込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます