第8話 リサの思い

 同時刻 私立翡翠高等学園 生徒会室


 リサと茜、そして呼び出された月白がいる。


「どうかしら? 新君は! 紅緋さんと一緒に戦っている姿なんて、絵になってて凄くかっこ良かったと思うんだけど!!」


 リサは少し興奮ぎみに二人に話している。


「お嬢様、主観が入り過ぎです!」

「そうかしら?」


「そうです! お嬢様には失礼ですけれど、私は新君がそれ程かっこいいとは思えないんですけど」

「え〜っ! 茜、それは余りにヒドい言い方じゃない」


「いえ。多分、普通の人が見れば、私と同じ意見の人が半数はいると思います」

「う〜ん」


 茜の反論されて、リサは少し気落ちしたようだが、それでも負けないって表情を見せる。


「でも、彼が槍を手に蜘蛛の妖を倒していく姿は、何度思い出しても胸が熱くなるわ」

「はい、はい。彼が手にしていたのは槍では無くてモップですけどね」


 茜はリサが新のことを異常に美化して表現しているのを、やれやれっていう感じで見ている。

 茜にとっては、リサがどうしてこんなに新のことを好きになれるのか、疑問なくらいだった。


「でも、不思議な少年だな。今にも壊れそうなのに、何か奥の方に力強いものを感じる」


 すっかりくつろいでいる月白が言う。


「そうよね。そこがまたいいのよね。実際、新君には変わって貰わないといけないし」

「覚醒か……」


 リサの言葉に月白が反応する。


「そう上手く行くでしょうか?」


 茜は不安げな声でリサに聞いた。


「新君にはその能力がある。先程の戦いでも生身の人間が妖魔を倒すって事をやってのけたじゃない?」

「あれは私も驚きましたけど……月白はどう?」


「そうだな。最終的には少年の心次第なのだがな」


 月白は茜の問いに、前足を舐めながら答えた。

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