うさぎさんうけわたす

~合宿2日目の夜19:30 合宿所食堂~


反省会も終わり、みんなで食堂に移動すると、今日は夕飯を食べた後、

そのまま食堂で親睦会だそうだ。


みんなでワイワイやっていると、腕相撲大会が始まった。

ここで1番強かったのが、大林ペッタンポン。タイと日本のハーフの彼だ。

彼も大林家康と大林茂秋とは別の大林で、全くの他人だ。

大林が3人もいるとややこしい。ややこしやー。ややこしやー。


このペッタンポンの腕は、ぼくのふくらはぎくらいあって力が強すぎる。

ぼくも一瞬で負けたし、大柄な家康も秒で負けていた。かなり悔しがっていた。


そして腕相撲大会が終わると、あのみんなの大好きなカードゲーム

[EINS]が始まった。最初は橋尻虎哉(館長)が負け、罰ゲームが発動した。


駄菓子屋さんで買ってきた瓶入り炭酸飲料に、

あろうことか辛いものをかじりながら飲むと言う怖ろしい刑が。


「敗北の味がします(苦)」


と、館長はなげいていた。

でしょうね。


~合宿2日目の夜21:00 合宿所各自部屋~


しばらくして、みんなバラバラに部屋に戻ったり、

他の部屋に行ったりしていると、何故か[EINS]はぼく達の部屋にあった。

まだ残っていた[敗北の味]と一緒に。。。


やっぱりここでも負けられない戦いが始まった。

戦いに参加するメンバーを箇条書きすると、


・ぼく

・大林家康

・戸田一麿

・大林茂秋

・石元小政


の5人だ。ぼくがカードを切っていると、


「うさぎさんねー。かーどくばるよー。」

「うんしょ。うんしょ。」

「すきかってーにうごくまーん♪」

「にいちゃん。ぱーす。」


うさぎさんが自作の[好き勝手に動くマン]を歌いながら

おとうとくんとカードを好き勝手に散らばしている。


そして、戦いが始まる。何ごともなく進み、ぼく、家康、戸田があがり、

茂と小政の1対1の時にそれは起こった。


引くためのカードがなくなったので、捨てたカードを戻していたら小政が、

[ZEICHNEN ZWEI(出されると2枚引かなければいけないカード)]や

[ZEICHNEN VIER(出されると4枚引かなければいけないカード)]を一気に出した。


小政は残り2枚になり、茂は6枚引くことになった。

悔しそうにしていたが、その時、


「うさぎさんがねー。かーどねー。うけわたすよ。」

「くばるんだぞ。にいちゃんはえらいんだぞ。」


うさぎさん達が分散していた[ZEICHNEN ZWEI]と[ZEICHNEN VIER]を

集めて、茂の引く時に気付かれないように、交換していた。


小政が勢い込んで、


「[EINS]ぅ!!!次であがりぃ!!!!残念だったなぁ茂!!!!!」


などと叫んだまさにその時、茂が無言でカードを出した。

そう。うさぎさん達が色柄だけで気に入って集めて受け渡した6枚のカード。


[ZEICHNEN ZWEI]×4と[ZEICHNEN VIER]×2を。


うわぁ…16枚。無理です。小政はもう勝てません。


「何だよ茂!フザケんなよ!!これってイカサじゃないっすか!!!」



イカサ!!!



イカサマを1文字だけ略すそのセンス!!!!!


「あきたー。かえるー。」

「にげろ。にげろ。」


と、イカサマをしたわけではないうさぎさん達は何も気にせず、

飽きて瞬間移動で帰って行った。


新たなパワーワード[イカサ]を残して。

もちろん[イカサ]にはみんな大爆笑だった。

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