うさぎさんとびまわる
~合宿2日目の夜19:00 合宿所各自部屋~
地獄メニューが今日も終わったあと、各自で風呂に入って部屋に戻ると、
遠藤雄輔が、ありがたいことに今日も洗濯をしてくれる。
「じゃあ今日は合宿の中日なので、その中で気付いたことの反省会をしまーす。」
大林家康が、そんな話をし始めた。反省会って合宿っぽい!
合宿っぽいよコレ!!単なる地獄のブートキャンプじゃなかったよ!!!
「空手ノートを出して、昨日の対人練習と組手と、今日の組手の良かったところ、反省点・課題を15分で書いてください。」
あれぇ…みんなノート持ってるよ。知橋正臣とぼく以外。
「あ。先輩と知橋は免除でーす。終わったら人から発表してください。」
知橋はドライヤーで髪の毛を乾かしているし、
みんな無言でノート書いているし、座ってボーっとしておこう。
「はい。終わりました。」
大林茂秋が発表を始める。
「自分は中段逆突きが綺麗に決められたので、それが良かったと思います。反省点は、上段の攻撃を防御できていないところです。課題としては、全体的な防御と中段逆突き以外にも攻撃のパターンを増やすことです。」
確かに茂の中段はズンと入ってくるからなぁ。意外と重いし。
「次は、自分が。」
「じゃあ遠藤。」
「自分は中段蹴りが良かったと思います。反省点は相手の攻撃にビビッて委縮することで、課題は怖がらずに前に出ることと、突きを全般的に出すことです。」
遠藤はビビらなければ良い中段蹴り出すんだよね。基本に忠実な。
ビビらなければ!
「次は自分です。良かった点は上段後回し蹴りが上手く入ったことです。反省点はもっとステップワークを使えたことで、課題は全体的に相手との間合いを考えることです。」
速水治幸が、発表する。ぼくも速水の上段後回し蹴りもらったからね。
ちくしょぉぉぉぉぉぉぉ。ぼくの反省点じゃないかコレ。
「次はオレです。押忍押忍。良かった点は上段逆突きです。反省点は引手が遅いことです。課題は上段逆突き以外も攻撃することです。」
石元小政…キミはホントに上段逆突きのカウンターしか狙ってこないからね!
中段突きとか潜り込まれてガンガンもらってたからね!!
「最後にオレが。良かった点は全体的に攻撃にバリエーションをもたせられたこと。反省点はスタミナ切れで、課題は全国大会に向けて体重を絞り込んでスタミナを上げること。」
家康が最後に発表する。確かにバリエーションあったねぇ。
突きも蹴りも上下に散らせていたし、背刀打ち(親指側での手刀打ち)も
決まっていたし。家康は関東大会で勝ち上がったため、全国大会に
今年出場する。その調子で全国大会ガンバれ☆
そうして全員の話が進んで、反省会が終わる頃、
「うさぎさんはねー。おとうととねー。きょうそうー。あっちいこ。」
「にいちゃんまってよー。」
「はやくー。」
「うわぁ。まってよー。」
「ここをねー。10しゅうねー。するの。」
「えっほ。えっほ。」
「おとうとのねー。かみさまへのねー。みちのりのねー。しゅぎょうだよ。」
「ふくかみさまだからね。」
うさぎさんご兄弟は一生懸命に読んで字の如く、
部屋の中をスイスイ飛び回っている。
おとうとくんガンバってね♪
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