うさぎさんける

~合宿2日目の昼13:00 合宿所各自部屋~


昼ご飯を食べ終わったら部屋に戻ろうかな。

案の定、昼も遠藤雄輔が[大好き]なトマトを避けていた。


「うさぎさんねー。そのとまとねー。たべるよ。」

「にいちゃん。にいちゃん。おとうとも。おとうとも。」

「はい。どーぞ。」

「にいちゃん。ありがと。ありがと。」

「うさぎさんねー。やさいをねー。おいしくねー。たべるよ。かみさまだからね。」

「うさぎさんはおのこししないんだぞ。ごはんはすききらいしないんだぞ。」

「ぴーまんもねー。おいしくねー。たべるよ。」

「やっぱにいちゃんすげーな。みんなのひーろーだな。」


うさぎさん達は、いっぱい食べて元気に育ってね♪


午後は、14:00から20人でずーーーーーっと組手だ。夕方まで。

なので、あの鬼軍曹、和多貫司のありがたいご厚意で!ご厚意で!!

13:00-14:00は休憩となっている。


ロビーで飲み物を買ってから部屋に戻ると、先に大林家康と遠藤が戻っていた。

コソコソと何かをしながら。ん?キミ達何してるの??


「せんぱーい。やってやりました(ニヤリ)」

「ヤバいっす。コレはヤバいっす。(爆笑)」


2人が大爆笑し始めた。どーした急に…待っていればわかるって?

じゃあ待つよ。


そこへ石元小政が部屋に戻ってきて、午後の練習の準備をしている。

慌てながらキョロキョロし始めたが、大爆笑している2人を見て、


「おい、遠ちゃん!オレのマウスピースどこだよ!!フザるなよ(怒)」


いきなり怒り出した。ホント相変わらず騒がしいぜ。小政。

そんな小政の手元のケースを見ると…



マウスピースの代わりに松ぼっくり!!!!!



それは大爆笑するわ。え?そのケースの中の松ぼっくりは?

あぁ!朝散策の帰りにコソコソ何かやってたアレか!!


それでマウスピースは?小政の前の透明な救急箱の最上段??

あぁ。濃い青だからしっかり見えてるよ。こっそりと遠藤が教えてくれる。


「遠ちゃんどこだよ!!ホントにフザるなよ(怒)」


と、言いながらマウスピースが丸見えの救急箱を持ち上げて横に除ける小成。

しかも、横に除けつつもまだ手はしっかりと救急箱に掛かっているだと!?!?


「何で(爆笑)小政(爆笑)何で(爆笑)」


と、笑いすぎて過呼吸になりそうになった遠藤が、

転げまわりながら言っていた。


さすがにそれにはぼくも大爆笑です!

持ってるから!いまキミしっかり持ってるから!!


いやぁ。本物の[メガネ、メガネ]をこの合宿で見れるとは。


そんなこんなでやっと見つけた小政は道着に着替えて、部屋を出た。

結局は自分も笑いながら。


「あー。さっかーぼーるだ。うさぎさんきーっく。」

「たっくる。たっくるー。」

「うさぎさんねー。まつぼっくりねー。もらうよ。」

「うさぎさんのさっかーぼーるなんだぞ。おとうとよりおおきいからたっくるなんだぞ。」

「まてまてー。」

「うわぁ。にいちゃんまってよー。」


松ぼっくりを蹴りながらうさぎさんも部屋から外に出た。

じゃあぼく達も体育館に向かいますかね。


~合宿2日目の昼14:00 合宿所体育館~


所々で休憩をはさみつつ、1人当たり1分半の試合と同じ時間で、

繰り返し組手をする。正直しんどい。


うわぁ…鬼軍曹は、ウェイトまでしっかり両手足に装着して組手をしている。

司、怖い子!!!!!


そんな疲れがピークの状態のところに持ってきて次の相手に現れるのが、

戸田一麿。にやにやしながら、ぼくをスピードで散々振り回したところに

中段蹴り。ぶへぇっ。無理。もぅ無理です。ごめんなさい。


ちょっとオジサン疲れたので、休憩がてら角多に、朝食堂で司と地獄メニューを

話していた橋尻虎哉が、何でみんなに[館長]と呼ばれているのかを聞いてみた。


「あぁ。あの人…橋尻会館って空手道場を持ってるんです。」


え?そこまで強くないよ?むしろぼくより…。


「ぼく達が勝手に作って言ってるだけです。会館員は本人だけなので1人館長です(笑)」


1人館長!?パワーワードすぎるでしょ!!!

不思議なあだ名。


そんな中、横を見ると知橋正臣は…やっぱり漂々と楽しそうに組手をしている。

ホントにそのワンツーと中段突きの出所がわかりません。。。

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