第2話 目覚めたのは女子高生の部屋
ひあっ、鏡に映った自分の姿に、俺は腰を抜かして尻もちをついた。
尻の骨を打ち付けた床はフローリングで、肉のなさに驚く。
レースのカーテンを透ける窓の外の光で、昼過ぎだということがわかる。
先ほど、いい匂いのするベッドで目が覚めると、やけに体が軽かった。
それに頬にふれる髪の毛の感じに違和感を覚えた。
同時に目に入ってきたのは、ドレッサーというのだろうか? にうつる姿だった。
それはどこからどうみても、中年肥満の俺じゃあない。
可愛らしいロングヘアの胸が大きな女子高生、だ。
女子の身体にさわったことなんか、小学校の時の表現ダンスの時以来で、プルプルと震えるばかり。
本能がこの体は借り物だと教えてくれる。
夢ではないことを確かめるために、色白の頬を平手うちするのもはばかられた。
じゃあどうしたら?
そうだ痛みじゃなくて……いやらしい気持ちになった俺は胸部に手を伸ばしてやんわりと揉んでみて感覚で知ろうとたくらんだ。
その時! ガチャ、背後でドアがいきなり開けられた。
おずおずと振り向くと、派手なおばさんが不機嫌そうに立っていた。
「あんたいたの。これ借りるから」
ドレッサーの上にあったヘアアクセサリーとおぼしきものをそのおばさんは掴んだ。
そのデザインは中年おばさんには似合わない様に思えた。
「今日の夜はいないからあんた適当に食べてなさい」
そう言い残すと階段をおりていった。
俺は声も出せずに頷くばかりで不審がられるかと思ったが、そのおばさんにとって興味がないようだった。
えっちな気分などすぐに消失してへなへなと崩れ落ちた。
どうしてこんなことに? そして鏡にうつる少女に俺はあることを思い出すのだった。
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