子供部屋おじさんと女子高生の異世界(?)戦記
@K2U
第1話 目覚めたのは子供部屋
ギシッとした音とともに、重いまぶたを持ち上げた。
目を覚ますと目に入ったのは謎の木目だった。
何かこれ見たことがある……二段ベッドの下!?
え、なんで私こんなところに寝てるの?
っていうか、この布団なんだかちょっと酸っぱい?油っぽい?臭いがする!
慌てて半身を起こし飛び起きようとすると身体に不快感があった。
ふと視線を下におろすと、まって? なんか太ってる!っていうか何この外見!
やっぱり二段ベッドの下部だった柵をなんとかまたいで降りた。
そして視界に入った足は、グレイの毛玉がついたスウェットに包まれていて、見間違えなく、短く太い。
考えるとすれば、夢であるとしか思えない。
降り立ったカーペットは二段ベッドなどが載っているので動かせないのか、色あせたモスグリーンで清潔感はうすい。
見渡すと視界に入るのは、小学生が入学時に買ってもらうような学習机、その上に乗った少し古く見える大きなパソコン、見たことが無いタイトルの漫画が入ったカラーボックス、テレビとその周りに散らかったゲーム機。
「子供部屋……?」
思わず出した声は、かすれた野太いもので、夢とは言えゾっとした。
鏡を探そうと見渡してもやっぱり多少違和感のある子供部屋。
違和感は、なんだか時代が古い子供部屋のような気がするという点と、大人の衣服が散乱している点だ。
その時ドアがノックされた。
「は、はい」
「芳(カオル)ちゃん、これ洗濯物。それと昼ご飯置いてあるから」
「あ…ありがとう」
ビクビクとお礼をいうと、70歳くらいの優しそうな女性は少しだけ小首をかしげて不思議そうな顔をした。
「それじゃ、お父さんの病院にいってくるわね」
なんだかその女性は、おばあちゃんくらいなのに雰囲気がお母さんぽい、感じた。もちろん自分のではない。
女性はお父さんの病院だといっていた。
病気なのだろうか?
あれ、なんだか、夢の中なのにお腹が空いた、お昼ご飯とやらを食べちゃおうかな?
こんなふうに夢の中でいろいろ考えられるのって明晰夢っていうんだよね。
そう考えながら階段を軽快に降りようとして……足がもつれて7段くらいの階段を踏み外した。
狭い階段で腰や足をしたたかに打ち付け、非常に痛い。
「なんかおかしくない? 夢ってこんなに痛かったりする?」
ほうほうのていで、洗面所にたどり着き、鏡に自分の顔を映し出す。
そこには、太ったおっさんが映っている、いや、夢だし問題ない。
強打した足腰が痛いのだって、夢なんだ。
私は強めに頬をつまんでみた、痛い!
そのままペチンペチンとべたついて、ヒゲか何がでザラザラガサガサする頬を叩き続けた。
そして痛みの中で私は知る。
これは決して夢ではないことを。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます