9.5:キャラデザインの作風をコントロールする

 多数のキャラクターが出演するソーシャルゲームにおいて、

 【豪華イラストレーターが、多数参加!】

 というセールス文句は、もはや定番です。


 ウマ娘においても例外ではなく、


・トウカイテイオー 卷さん

・オグリキャップ 久方綜司さん

・タイキシャトル ぽんずさん


 というように、多くのイラストレーターさんが、ウマ娘と彼女たちがレースの時に身に着ける勝負服のデザインを担当していました。(※1)


 ただ、ここで一つ、ウマ娘に限らず、大勢のイラストレーターさんが参加する作品に共通する問題があります。

 多くのスタッフが関わっているということは、作風の統一、デザインのトータルコーディネイトが非常に難しくなるわけです。


 画風だったり、線の太さだったり、キャラクターの頭身だったり。

 かかわる人間が増えるほど、作風が乱れやすくなります。


 対策として、

 『3.4:【人気IPを観察する】 ファイアーエムブレム ヒーローズ』 

 で、触れた任天堂のファイアーエムブレムヒーローズでは、


 ゲームに頻回に登場する主要キャラは、1人のイラストレーターが担当。

 人目に触れやすい部分に限って特定の作家に一任することで、作風をコントロールしていました。(※2)


『3.4:【人気IPを観察する】 ファイアーエムブレム ヒーローズ』 

https://kakuyomu.jp/works/1177354054888713584/episodes/1177354054888724105



 さて、ウマ娘ですがさらに大胆な方法で、作風をコントロールしています。


 ・作家の描いたデザインはあくまで【原案】と位置付ける

 ・開発会社内でリデザイン、作風を統一したものを決定稿として使用する


 というもの。

 中には、大幅にデザインが修正されたウマ娘もおり、担当されたイラストレーターさんの心中はいかばかりか。という懸念はありますが。

 作風をコントロールするのに有効、かつ抜本的な解決方法でもあります。


 ウマ娘が登場するまでは、イラストレーターさんの個性を発揮してもらうことばかりが尊重されていたように思います。


 しかし、ハイクオリティな作品が求められる現代において、作風の統一も重要なクリエイターの使命となりつつあります。

 一つの選択肢としては、大ありの手法だと思っています。



(※1)

 ウマ娘では、同じサイゲームズのソーシャルゲームである『神撃のバハムート』から参加していた、イラストレーターさんが多いとか。


(※2)

 第1、3、5、6章の主要キャラのデザインは、コザキユースケさん

 第2章の主要キャラのデザインは全て、前嶋重機さん

 第4章の主要キャラのデザインは全て、四々九さん

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