8.3:女性向けコンテンツの傾向と対策 おまけ

 さて、キャラデザからは少し脱線しますが。

 せっかく男女の感性の差が出てきたので、もういっちょお話させていただきましょうか。


 これは私のシナリオの師と呼べる人から聞いた話ですが、男性ライターの記したものと、女性ライターの記したものとでは、やはり違う性質を持っているそうです。


 まず、男性のシナリオライターは、【物語に矛盾がないこと】を重要視します。

 もちろんこれは長所ではあるのですが、辻褄合わせに気を取られるあまり、話の展開のテンポが悪くなりがちだとか。


 一方、女性のシナリオライターは、【場面ごとの盛り上がり】を重視します。

 そのシーンでどれだけ盛り上がるか、最善のキャラの魅せ方を最優先。

 話のテンポも良くなりますが、全体を通してみると矛盾が多くなる向きがあるようです。


 俗にいう、【男性は理屈で考える】【女性は感情で考える】という傾向が、手掛けたシナリオの内容にも影響しているわけですね。


 無論、男と女、どちらか一方が優れているというわけではありません。

 ただし、男性向けの萌えアニメなのに、女性の脚本家が採用されることがあります。

 それは女性ライター特有の『キャラの魅せ方を最優先』『話のテンポが良い』という長所が、萌えアニメに合っていると期待されているからのようです。


 なお、繰り返しますが、今ご紹介したのは、あくまで傾向です。

 男性でも、女性の平均以上にテンポの良いシナリオを書けるライターはいるでしょうし。

 女性でも矛盾のないストーリーを提供できる方もいるでしょう。(※1)


 そういう意味では、『8.2:例外? 女性向けコンテンツの傾向と対策』で触れた男女差もおんなじ。絶対の法則ではありません。


 ともあれ、自分が持っているかもしれない、発想のクセを把握しておくことはいいことでしょう。

 クリエイティブの場で、男女の差の垣根が無くなることは喜ばしいこと。

 でも、だからこそ、異性に向けてのサービスを手掛ける場合もあるのですから、各性のおろそかになりがちなポイント、ユーザーが求めているであろうことは、忘れないようにしておきたいものです。(※2)



(※1)

 ちなみに、男女のどちらの感性も持ち合わせている方として、小林靖子さんを推します。(ジョジョの奇妙な冒険、進撃の巨人、戦隊ヒーローなど、アニメや特撮作品の映像脚本を担当)


(※2)ユーザーが求めているであろうこと

 男性ユーザーは、物語に矛盾がないことを重視。

 女性ユーザーは、そのシーンでの盛り上がり、キャラの魅力を重視するなど。

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