◆8章:キャラデザよもやま話◆
8.1:自動販売機にも注目セヨ!
ミナサン、オヒサシブリデス。
7章に渡って温故知新なキャラデザの理想像を追いかけてきた、『(前略)優れたキャラクター設計に必要な工夫を考えてみる』の連載ですがこの度、復活!
新しい全9回(予定)の投稿で、伝えそびれたこと、新しい観点でのキャラクターデザインに役立つ情報を、またお送りできたらと思います。
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さてこれまで、【キャラクターの多さはもろ刃の剣】【チームでのプロデュースがお得】であることを、口が酸っぱくなるほど力説してきましたが。
先日、この理想像を体現しつつ、かつ皆さんの目によく触れているお馴染みの存在があることに、気づきました。それは……
【自動販売機】です!
1台で、数種類から~30種類を超える商品が売られていて当たり前の自販機ですが、これって大勢のキャラクターを一度に取り扱う、エンタメ作品とダブって見えるかも。
そして、自販機をよく観察すると、陳列方法に規則性があることに気がつきます。
たとえば、私の住まいの近所の公園にある、飲み物の自販機では、
・上から1段目:あったかい飲み物
・上から2段目:冷たい飲み物
・上から3段目:冷たくてかつ大容量(500mlペット)の飲み物
と、段によって、配置されている商品の種類が区分けされていました。
もちろん、あったかい飲み物は赤字で、冷たいのみものは青字で表示されているのは、全国共通。(暑い日に、間違えてホットコーヒーなんて買ったら、地獄だもんね)
さらに、1番上の段(あったかい飲み物チーム)を注目すると、左側に缶コーヒーで有名な【BOSS】ブランドがまとめて配置されていました。ちなみに左から順番に、
1番目:缶コーヒー(スタンダード)
2番目:缶コーヒー(微糖)
3番目:缶コーヒー(ブラック)
4~5番目:缶コーヒー(カフェラテ)
6番目:缶コーヒー(軽やか微糖)
7番目:缶コーンスープ
8番目:ペットボトル・コーヒー(スタンダード)
9番目:ペットボトル・コーヒー(ブラック)
こんな感じ。
なお、9番目の続きは、別のペットボトルお茶(緑茶・ほうじ茶・紅茶)と続きます。
コーヒーは、嗜好品の代表格です。
人によって好みがあり、微糖、ブラック、カフェラテと種類も豊富。
また、日によって、飲みたいフレーバーも変わってくるでしょう。
だからこそ、こうして同じ【BOSS】ブランドをまとめて陳列しておくのです。
同じブランドだからデザインの共通性が高く、まとめておくと自販機全体の視認性、『どこに何があるか、注目すべきところがすぐ分かる』ようになります。
この自販機の場合、コーヒーが飲みたければ、すぐ左上を見ればいいわけです。
また、隣り合わせて配置してあるからこそ、
「微糖に、ブラック、カフェラテ、缶だけじゃなくて、ペットボトルもあるのか……」
と、細かな比較ができて、各コーヒーの特徴の違いが際立ちます。
『◆2章:設計の秘奥義『チャンク』とは?◆』で学んだ通り、
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888713584/episodes/1177354054888713903
・7±2個の要素を一度に見せられると、脳内で情報を処理しきれず拒絶の心理が生じる
・↑の対策として、似た者同士のデザインをひとまとめにする、チャンクが有効
の法則を、きっちり踏まえて、飲み物を配置しているのです。
なお、他の段にも観察の目を移すと
・缶は缶、ペットボトルはペットボトルで分けて配置
・お茶は、お茶だけでまとめて配置
・炭酸飲料は、炭酸飲料だけでまとめて配置
・水とスポーツドリンクは、喉が渇いたとき用としてまとめて配置
といった具合に、やはり、グループ(チャンク)を徹底的に作って、並べられていました。
賢人はみな、同じ結論に達するといいますか。
たとえ、色んな飲み物を取り扱っているのが売りの自販機でも、無秩序に商品を配置するのは良くない。そのことが分かっていて、こうした並びにしているのだと思います。
そして、キャラクターデザインも同じではないでしょうか。
関連のあるキャラ(姉妹、チームメイト、ライバルetc.)であれば、そうとわかるデザインの共通点をいくつも持たせる。
似せるべきは徹底的に似せて、その上で違いとなる特徴を際立たせる。
そうした気遣いが、登場キャラが集合した際にまとまりのある、見ていて心地の良い絵の源泉となるはずです。
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