6.4:【モンタージュ理論的な実践編】3 二言バットでオリキャラを作る

 二言バットの理屈は、分かったでしょうか。

 でも、やはり方法論は実践できてナンボ。

 ここらで、『このすば』『転スラ』に負けないように、二言バットを使って、色々なオリジナルキャラを考えてみましょう。


 以下、キャラクター案を並べて記します。

 冒頭文が、二言バットにあたるコンセプト。

 そのあとの【解説】が、モンタージュ理論的な手法で生み出されたといえる、シチュエーションにあたります。



〇武蔵坊弁慶だけど、小さな妹型ロボット

 【解説】

 牛若丸の養父である、鞍馬天狗(親バカ)が修験道な力で作った、からくりロボット、弁慶ちゃん。牛若丸を山に連れ戻すか、それがかなわなければ彼女を護衛するよう父様(鞍馬天狗)に言付かっています。

 小さな体に似合わぬ、力持ち。

 からくりゆえに感情表現が乏しく、無口だが、素直でいい子。

 見慣れぬ人間たちの習慣を目にして、「むふー」と、感動します。

 牛若丸を姉様と慕う。

 体の中の不思議空間に、999個の武器を隠し持っていますが、取り出すときは、口から吐き出すため、ギャク化して処理します。



〇エルフだけど、婚活中

 【解説】

 何百歳でも若く、見た目が変わらないエルフ族ですが、どうやら、彼女は婚期が過ぎています。ツンデレすぎて素直になれないのが、行き遅れの原因。

 不器用なりに、気になる主人公にアタックしますが必死すぎるあまり、ギャグ的な空回りになりがちです。



〇シンデレラなのに、武闘会に出場

 【解説】

 『ブトウカイ』違い。

 王子様は強い女がお好みということで、優勝者が妃となれる、武闘会が開催され、シンデレラは参加することに。実は、シンデレラの死んだ母は、美しく舞うように戦う、一子相伝の格闘技の使い手だったのです。←北斗の拳のパロディ。

 ライバルは、卑怯な手で実母を殺めた、イジワルな継母・義姉たち。

 老師じゃなくて、魔法使いの元で、シンデレラは修行を開始。

 武闘会で、決着をつけることになりそうです。



〇金髪ツインテールなのに、ツンデレじゃない

 【解説】

 ツンデレの典型的なスタイルなのに、むしろ、気弱でともすれば癒し系な彼女。

 「はわっ!? ツン成分足りてませんか!?」

 と、周りの期待に応え、無理やり、ツンデレキャラを演じようとする姿が、逆にいじらしいです。



〇完璧超人なのに、変態

 【解説】

 王子である主人公を守る、親衛隊(ロイヤルガード)の隊長。

 表向きは品行方正。優しい年上のお姉さん。

 ただ、主人公に対する敬愛をこじらせ、独自の貞操観念に発展中。

 【恋人や正妻になるのは、恐れ多い】と固辞する一方で、【女性上位で主人公を甘えさせる】【主人公にオシオキされる】のは従者の務めとしてOK。むしろ、大好物。

 仕事一筋なので、主人公以外に男を作る予定はありません。



〇那須与一だけど、丸いものしか射てない

 【解説】

 平家物語でおなじみの、那須与一。(※1)

 原作通り弓術の名手。しかし、『日の丸が描かれた扇』を的にして練習し続けたため、なんと、丸いものしか射てない体質に。

 男の禿げ頭とか、丸いものは何でも射ちたい禁断症状に駆られます。

 時代を超えて、明智光秀(仇名:キンカン頭=おでこ広い)と出会ったら、たぶんヤバイ。



〇無口クールなのに、お菓子好き

 【解説】

 小柄な娘が、棒つきキャンディーをいつも口にくわえています。

 さながら、おしゃぶり、くわえたばこ。

 見た目をかわいい感じにまとめるための、ギミックです。



〇変身魔法少女なのに、極道

 【解説】

 根は素直でカワイイ娘。

 戦闘では、無邪気な顔でエゲツネェ攻撃を行います。

 武器は、魔法の弾を打つ二丁拳銃や、魔法のドス。

 主人公のことを、「お兄ちゃん」ではなく、「あにきー」と慕います。



〇孫悟空なのに、常識人で苦労性

 【解説】

 西遊記の原作では、実は常識人の孫悟空。(※2)

 お師匠様(三蔵法師)がすぐ、妖怪に騙されてさらわれるために、気苦労が絶えず、ため息ばかりの苦労人です。でも、三蔵法師に惚れている(両方、女体化を想定)ため、見捨てられません。



〇ドラゴンだけど、母性たっぷり

 【解説】

 怖くて気位の高いはずのドラゴンなのに、母性たっぷりの性格。

 人間の姿になって、主人公を甘えさせてくれる。ママショタ系。

 「主人公さんの卵を産みたいです」



○三国時代に転生したけど、反骨の相だった

 【解説】

 三国志の世界に転生したら、よりにもよって魏延になっていた。(※3)

 韓玄を斬るべきか否か?

 斬られずに北伐を成功させろ!

 山登りから馬謖を救え!

 爆破大作戦から逃げのびろ!

 諸葛亮と楊儀には、毎年のお歳暮とお中元を忘れるな!

 馬岱とはズッ友だよ!



○バブみだけど、ダウナー系

 【解説】

 年下の娘なのに、母性たっぷりに甘えさせてくれる【バブみ】属性の亜種。

 めんどくさがり屋だけど、好物のお菓子をあげたり、頭をナデナデしてあげると「しょうがないお兄さんですねー、下心まる見えですよ」と、言いつつ、超甘やかしてくれる。

 「お兄さんの命令じゃなくて、たまには私の好きな時にもご奉仕させてください」と、何もしなくても、甘やかしてくれる。

 「ヘンタイのお兄さんに構ってあげるのなんて、私ぐらいなんですから」と、照れ隠しの悪態をつきつつも、いっぱいお世話してくれる。

 自分が疲れてガスケツになると、「今度はお兄さんが、甘やかしてください」と、あまあまスキンシップを要求してくる。

 ツンデレと、バブみのハイブリットキャラ。

 「将来、お兄さんに養ってもらうために、今のうちに恩をたっぷりと売っておくです」(※4)



(※1) 那須与一

 平安時代末期の御家人。

 いわゆる源平合戦では、源氏側についた。

 屋島の戦いで、揺れる船の上の扇を一矢で射抜いた、『平家物語』での活躍が有名。


(※2) 実は常識人の孫悟空

 改心するまでは暴れん坊だが、三蔵法師の旅に同行するあたりからまともになる。

 むしろ、トラブルメーカーは三蔵法師。

 なお、原作は全100話あり、みんなが知っている西遊記とかなりストーリーが違う。牛魔王も、金角銀角も、序盤の敵。

 あと金角銀角の正体は妖狐とか。沙悟浄は水ではなく、砂=土属性の妖怪っぽいとか。


(※3) 魏延

 三国志演義に登場する、蜀軍、劉備の配下の有力武将。

 本作の人気軍師である諸葛孔明に、反骨(裏切り)の相があるとみなされた。降伏したにもかかわらずに斬られかけたため、とかく裏切り者をネタにされやすい。

 

(※4) もちろん、照れ隠し。お兄さんがパワハラで休職→引きこもりになっても、転売と、広告収入と、デイトレードで稼いでちゃんと養ってくれるよ。

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