◆4章:色んなテクニック集◆

4.1:補足1 見える形でキャラクターの共通点をつくる

 ここからは、補足と称しまして、『キャラクターの関係性の可視化』にまつわる、幾つかのテクニックに触れていきたいと思います。すなわち、


 ・一目で、キャラクターAとキャラクターBが関係者だとわかる。

 ・キャラクターAと、キャラクターBが出会ったとき、どんな楽しい会話、交流、イベントが起こるか、ユーザがすぐに想像できる。


 ことが最終目標です。そのためのアプローチをいくつか考えていきましょう。



●共通点を作る方法の提案、その1 コスチューム


 萌えコンテンツを扱う上で、やはりキャラクターのコスチュームは大事。

 外せないといえるでしょう。たとえば、艦これにおける


 ・セーラー服や、巫女服などの萌えコスプレ要素


 を、チーム内の共通項とするのです。

 本書冒頭で触れた、『金剛』姉妹も、全員、巫女装束をモチーフにした、コスチュームを身に着けていました。



●共通点を作る方法の提案、その2 紋章で共通性を示す


 また、意外とソーシャルゲームで取り入れられていないのが、『家紋』『紋章』を使った、キャラクターデザインです。


 たとえば、国産RPGの雄、ドラゴンクエストシリーズの2作目、『ドラゴンクエストⅡ』でプレイヤーが操作するキャラクターの3人は、全員『ロトの勇者の末裔』という出自です。そのため、ロトの紋章を取り入れたコスチュームを、3人とも身にまとっていました。(※1)


 ドラゴンクエストⅡほど、大胆に取り入れなくとも、『ワッペン』として国章をどこかに着ければ、近しい効果が期待できるでしょう。


 この手法のメリットは、一度、国章をデザインし、ワンポイントでそれさえ入れれば、後は自由にキャラデザができるということです。

 多くのデザイナーが、関わるソーシャルゲームの開発において、『ワンポイントさえ入れれば、キャラの共通性がある程度、担保される』ことは、大きなメリットといえるでしょう。


 あるいは、家紋・紋章を使わずとも『チームメイトは、左腕に必ず赤いスカーフを巻いている』というように、共通項を持たせれば関係者であることを示せます。



●共通点を作る方法の提案、その3 姉妹・母娘はそっくりに


 ここまで、艦これの『姉妹艦』について述べてきた通り、肉親という関係はキャラクター同士の関連性を描くのにポピュラーかつ、とても有効な戦略です。


 しかし、キャラデザ上で共通点がほとんど無いのであれば、設定を有効に活用できているといえません。

 やはり、姉妹は似ているからこそ、いいのです。

 似ているからこそ、それぞれの特徴が際立ちます。


 『妹たちと顔はそっくりなのに、バストは姉の私だけ小さい!』


 というネタもできて、ユーザは盛り上がれるのです。



【理想的な姉妹キャラの例 To LOVEる 】


 『To LOVEる -とらぶる-』といえば、『週刊少年ジャンプ』『ジャンプスクエア』にて10年以上に渡って連載され、アニメ化もされたラブコメ作品の代表作。

 本作も、髪の色で、肉親であることを表現していました。

 たとえば、


・ララ=デビルーク

・ナナ=デビルーク

・モモ=デビルーク

・セフィ=デビルーク 


 の4名は、姉妹や母娘であるため、全員、ピンク色の髪で統一。

 また、下記の2人は、


・金色の闇

・ティアーユ


 クローン技術で生まれた母娘のような関係であり、同じ金髪であることは伏線になっていました。


 特に、『To LOVEる -とらぶる-』は、連載が続くにつれてヒロインがどんどん追加され、各話によってメイン級に扱われるヒロインが入れ替わった作品です。

 数か月ぶり、読者にも忘れられかけたころになって、意外なキャラに出番が回ってくることもあります。

 半ば群像劇であり、このように『似せるべきは徹底的に似せて』『視覚情報だけで、キャラの関係性を分かるように』しないと、難解な作品になってしまったであろうことは想像に難くありません。


 いいかえれば、ヒロインが少数で、そこにしかスポットが当たらない作品 ―― 最近では『五等分の花嫁』が該当しますが(※2) ―― であれば、姉妹の間でも差別化の強度を上げてもいいと思われます。



(※1) ローレシアの王子(盾に紋章)、サマルトリアの王子(胴に紋章)、ムーンブルグの王女(額に紋章)の3人


(※2) 五等分の花嫁

 2017年より、『週刊少年マガジン』に連載中のラブコメ漫画。2019年1月にアニメ化。五つ子の姉妹がメインヒロイン。

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