4.2:補足2 最初に見せるキャラクター数はほどほどに

 『2.1:記憶力の秘密、マジックナンバー7±2って?』で述べたように、人間は、個人差はありながらも、5~9個を超える要素を一度に見せられると、『覚えられない!』と判断して、拒絶の心理に走ってしまいます。


 名作IP『艦これ』では、姉妹艦をはじめとした、『ごちゃごちゃした見た目を緩和するため』のいくつもの取り組みで、この、欠点を解消しているのはここまで述べてきた通りです。


 加えて、もう一つ、対策があります。それは、


 【初報で紹介するキャラクターを、5人程度にしぼる】


 ことです。これで、マジックナンバー7±2には引っかかりません。

 その上で、続報、または、もっと内容を詳しく知りたいという人だけが目にするであろう、プレイヤーズサイトにて、


―― 主役級の『●●ちゃん』のお友達として、××の擬人化キャラが新登場! ―


 というように、関連性を作りつつ、新しいキャラクターを少しずつ、追加紹介します。そうした方が、ユーザはキャラクターの顔を1つずつ覚えられますし、また、定期的にコンテンツを更新するネタにもできます。


 なお、このキャラクターを少しずつ、増やしていく手段は、なにも珍しい手法ではありません。


 たとえば、赤松健氏のラブコメのヒット作『魔法先生ネギま!』。本作は、31人の女学生ヒロインを、主人公のネギ・スプリングフィールドが教育するという、大勢のヒロインが一挙に登場するコンテンツの元祖の1つです。


 もちろん、多種にわたる個性派ヒロインたちが登場することこそがウリですが、一方でこの作品は、当初のレギュラーを、主人公の『ネギ』と、『神楽坂 明日奈』『近衛 木乃香』『宮崎 のどか』『雪広 あやか』の5人にしぼっていました。


 そこを導入として、


・『近衛 木乃香』の親友+従者である『桜咲 刹那』

・『宮崎 のどか』の親友である『綾瀬 夕映』


 という風に、読者に見せるコミュニティの輪を、連載を続けながら次第に広げていったのです。

 31人のヒロインの登場時間に、意図的に格差をつくっていました。


 大所帯・群像劇を描く作品で、最初は少数のキャラに焦点を絞るのは、『魔法先生ネギま!』をはじめ、アニメ・漫画などのストーリーものでは、とてもベーシックなワザといえましょう。(※1)


(※1) 他にも、全寮制のルームメイトという理由で、ヒロインを2人1組に。『1人を知れば、もう1人も知ることができる』ようにするなど、大所帯のヒロインをいかに憶えてもらえるかの工夫に富んでいました。

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