3.6:【人気IPを観察する】 まとめ

 ここまで、キャラクターの関連性。

 特に、見た目の共通点を持たせることで成功をおさめてきた事例にいくつかふれてきました。


 また、最後の『恋姫†夢想』と『戦国†恋姫』の事例の比較は、示唆に富んでいます。

 すなわち、萌え擬人化が成功するには、題材選びが重要である。

 キャラクター間で紐づけしやすい対象を、選ばなければいけません。


 言い換えれば、これは大いに主観が含まれますが、萌え擬人化向きのジャンルは、もはや大方に手垢がついている気がします。


 どうしても、『萌え擬人化』を行うのであれば、勝算のある萌え対象を見つけてから、臨むべきではないでしょうか?


 翻って、艦これは、正に慧眼でした。

 世界には、ビスマルク、アイオワをはじめとする、有名な艦艇が存在します。

 にもかかわらず、艦これは当初、登場キャラクターを『日本艦艇』に限定しました。(※1)


 舞台を日本海軍に絞ることで、『姉妹艦』の関係を密にして作ることができました。キャラクターの関連性を、より強くすることができたのです。(※2)



(※1) 現在は、ビスマルクなど海外の艦も登場するようになりました。


(※2) 対して、世界中の艦艇を幅広く扱い、一定の成功を収めているのが、2017年リリースの『アズールレーン』。後発の分、イラスト・ゲームのクオリティも艦これに比べて高め。なのに艦これの牙城を崩しきれなかった原因の一つが、キャラの設計にあるというのが、本論文の見解です。

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