【からだからと】

此方を見ていないのは何方もで暗がりの彷徨は聞こえない

耳を塞いだ咆哮は朽ちを噤んだまま咀嚼し呑み込んだ

泪ははじまりの失笑 膿んだのはこの身たち とばっちりは生まれたこと

あやまろうとも意味は無く代わらず いまいまに、ここに、

てんでばらばら灯りはトーチカ 侵さないで浸された明日の薄明


先行きを見ようともせず今に縋る蛾蟲の宴は靄の中

眩むほど薫る殺蟲灯で焼き印を下された宵に阿呆どもは何を思うか

爆ぜ堕ちる肢体に徒花を捧げようかと

打掛とも所謂死装束ともおいくらでもかって想い重いに心にアイを

尊ぶべきは今ではなく明日を夢見る未来に眸を。


階段坂を登るも下るも輪廻であろうとなかろうと

息を吸うからおもしれえ

粋を吐くからウザイのだ

外から見た鳥籠は酷く滑稽で泣いてしまわぬように

トントンと跳ね廻り括る也

嗚呼 今故に先を流れ くうきくらっていきていく

暴れ烏のお喋りはようやと虹彩に戻りあいあわせる

番か情か 曲輪であろう


価値はないひとときの感情 先行き不明の特急列車に乗りたくない

運賃未払いの未知に未来は開けない 霧の中手探りでしがみつく彼方

だれでもいいわけじゃないのに

言い訳すら口を噤む互い違いの目配せに阿呆らしいと

気を使い取り憑かれて終い けしてくだらないプライドはともに死ね

閉じた眼を明ける空

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