第28話 【取違】

永遠の竹林に魅せられ

銀の自転車で滑空する

「果てはあるのか」

息も切れない涼風が囁いた


聴きたくない 個々に居て。


  満ちる

停滞している空

朱の稜線 

 火の鳥居が咆哮を開ける


出口でも入口でも未来だ


  御迎えの日を灯し

 聲は高鳴りを認める

  惹き反せない黒髪に焦がれ 

   暗転する闇に震えて孵る


柔らかい網の中にラッピングされた

ふわふわな子猫たち

 鳴いているのは

 皆

暢気に寛ぐ証拠

並べられた甘いお菓子

   嗜むのが 普通の完成

できあがり 粗末な時間


空のお皿は崩れやしない

割れたところで見もしない


 今日もオシャレで忙しい煌びやかな

      水溜まり

  私には眩しすぎるけれど。

塵屑に反射する光 

         世界は綺麗だね


生活感を生んだ洋服の毛玉は

      べっとりとびっしりと

あなたという外観を はじめから 創る


 くだらない 

ひとりは生きていけない

          おちてゆく

   笑っても泣いても

気づかれなければ意味がない

ひとりでできる

  なら すでに誰もいない

ココにはいろがある 


やはり身に染みていたい。


一面では完成しない箱は

宵闇の香り   

     誰かのゴミ袋

広げれば極彩が詰まっている

        夢の御呪い。


歪んで見える雲梯

   駆け下りる銀の傾斜

  風で遊ぶ花弁は幸あれと

重力を軽々と蹴った

   真新しい鞦韆は

やたら眼に滲みて

      ぎしぎしと身を動かす


   真新しいだけで

  毒林檎じゃなかった


灰色の空き缶を蹴っても

 世界は瞑られて狂う

煌々と陽の光だけ

 私の濃い影を落とす

足元に黒い染みが増え

        存在を喰らった


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