第29話 【排斥】

灰色の汚ねぇ海は

幾ら陽に透けても青くない

青春の日々


根底には深淵の回遊魚が

くだらない餌に喰らいつき

ときに身を蒔かれて

散る桜は綺麗と手折る


崖の上から吊るされた糸

切れろキレろ朽ちて愚痴て

堕ちてよ


喰い付いてくれ

うみにかえりたい

誰でも良い

助けて欲しかった


懐かしい夏に


晴空は罵声により

不意に瓦解する展は割れた

海に墜ちる透明に澱んだ青

地に霧となり愛彩に消された


誰も何もわからない

枷だけが塊を吐息と齎して

未知は示され

太陽は天に求にする


掬ってみえる水面

浮動 運ばれて価値を賜り

自然に名を配し満足を得る


何であれ底に朽ちる

拾得る時分 我の重さ


宵の淵に並ぶ未使用の玩具

錆びる お掘りほとり畦道

ほとほと 引き摺られ

落とす 多量の夢の泉

本当を囁き

新しい未来が開ける蓋

若葉二滴浸り沁みて往く 

しがみしがらみ憑く朱

小出しはせせらぎや記憶、睡蓮架、

皆に介錯を委ねるうつつ

木立は戦ぎ 漣 清く雁字搦め

生粋はなだらか 撓み歪みを隠す

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