第16話【まいにながされ】

海を魅ゐ射出す舞に流され

どんなにか翔くとも。

山紫水明欲するのは空が近いから


高みから俯瞰する自らを下る。

慎重に降りれば良いのに、

安堵でしょうか

やはり孕んで征く赤い糸

内に孵るだけと


桃源郷に転落す。終い閉じた籠に

覆い被さる芥、胎動する思慕


生み堕されるのも いつか亡く成るもの


羽纏いては惑い空に奔る曇りに

底に仕舞があること。

風光明媚な欠片を旋回する後塵は

ないものを知っているのですから


私達は元から何もありませんでした。

唯、輪廻の鎖に繋がれているだけなのです

ですから人は、苦労を厭わず

彼方に手をかけ、瞳を閉じれるのでしょう


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