第14話 【そこのね】

【そこのね】

重力の底値、

落ち窪み 今や月も掃いて

曇り払いても 運去りて

酔い已みに惑うばかりです


今来た道を躊躇いほとほと癇癪を興す。

子供のように身を散らし幾度も嫌厭する

慟哭する風は何をふやかすか

緩んだ身いっぱいに雫は溢れて


惰性にも寝転んだのがまずかった。

もう起き上がる術も緒として終い

とも、塗れてしまったのだから


さぞや安っぽく動けそうもない有様

地面に這い擦るざまがさぞや滑稽であろう。

どうせ誰もいやしない

夢を見たのか現なのか。

懐かしい面が私を除き混んで浮いて。

これが屹度、走馬燈なのだろう


生暖かい彼方の掌のように。


塔からはんなりはらりと

熱い雫が墜ちましょうか

いいえ、

深々日を浴びる

新緑の雑草に身を横たえ

空を見下げただけですから


慟哭する名残だけが私を

髪は残薔薇に混沌して

やおら えくぼだけを撫でてゐった。

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