第5話 その銃で好きにすればいいわ!

 ◎GAMER'S FILE No.4

  『宇崎八重花(うざきやえか)』16歳

   某私立高校に通う現役女子高生だが、現在休学中。

   得意なゲームジャンルはアクション。

   栗色のショートヘアで、亜理紗ほどでは無いが身体が小さい。

   言いたいことは何でも言ってしまう性格で、

   それに起因する他人との衝突は一度や二度ではない。

   自身のプレイ動画をネットに上げるのが趣味。


   装着アーマーは機動力、瞬発力に優れた『G・アクション』で、

   アンチャーとの交戦時には、身の軽さを生かした斥候・かく乱を担当する。







今日は土曜日。

ゲーマーズは、八重花の家に集まっていた。

八重花の家はそれなりにソフトが揃っているので、 ゲーマーズ達も思い思いのゲームで遊んでいる。


佳奈美はTVで格闘アクション。

千里は携帯機で3Dレース。

亜理紗はレトロなゴーグル型マシンでシューティング。


トイレから帰ってきた八重花は、佳奈美が未だに同じゲームをプレイし続けていることに気付いて声をかける。


「佳奈美、また飛鳥の拳やってんの?」

「弱点の乱戦を克服しないといけないからね」

「それなら同じ飛鳥でも、ストライダー飛鳥の方をやればいいのに……」

「……佳奈美にそんな玩具は必要ない……」

「亜理紗、やらんのならバーチャルガール代わってな」


ごちゃごちゃ言いつつ、全員揃ったので4人は部屋の奥の空間に振り返る。

そこには立体映像で現れた長官の姿があった。

ゲーマーズ達は伝えたいことがあると言われ、長官に呼び出された(?)のだ。


『ゲーマーズ諸君、よく集まってくれた』

「で、長官。なんだよ話って?」

「今日は新作の発売日なんだから早くしてよ。まぁマイナーな洋ゲーだから売り切れることは無いと思うけど」

『実は、前々から気になっていたことがあるんだがな……』


長官は立体映像の向こうでデスクに肘を突き、顔の前で両手を組む。


『キミたち……学力低いだろ?』



(ピシィッ!!)



空気が一瞬にして凍りつく。





  樋口佳奈美 17歳

  『追試の鬼』の異名を持つ落第生。


  河井亜理紗 15歳

  出席日数が足りず、留年が決定的。


  五十嵐千里 19歳

  高校中退のドロップアウト組。


  宇崎八重花 16歳

  諸般の事情により休学中。




ドガァーン!!



固まった空気が臨界点を迎えて爆発する。


「だからなんやぁーーー!? 古傷えぐるなやぁーーー!!」

「学校なんて行っても時間の無駄だよっ!」

「……長官……学歴信者だったの……」

『や、や……す、すまない、責めるつもりじゃなかったんだ!』


蜂の巣を突付いたような騒ぎに、慌てて弁解する長官。


『ただね、ゲーマーズの中に一人は学術に長けた者がいた方がいいんじゃないかと思うんだ。

 状況を的確に分析できる、参謀のような仕事を担当するゲーマーズがね』

「つまり、勉強できるゲーマーをゲーマーズに加えろってことか?」

『その通り!』

「でもなぁ……実際、ゲームにここまでハマるような輩は9割方ダメ人間やで?」

「……リアルが充実してれば……ゲームの世界には逃げない……」

「ちょっ、こっち見るな亜理紗!!」


八重花が慌てて手を振る一方、佳奈美はぐっと握りこぶしを作っていた。


「まず、他人に頼ろうって発想が間違ってるだろ。

 ゲーマーズに学力が必要だというなら、あたし達自身が見につければいい」

「おおっ、流石は佳奈美! 孤高の求道女!」

「さぁ長官、教えてくれ! 勉強を教えている 道 場 はどこだっ!?」



チーーーン……。



「……佳奈美」

「なんだ、千里?」

「勉強を教えとるのは道場やなく…………塾や……」


長官は頭を抱えてしまった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



長官のツテで嫌々ながら学習塾にやって来たゲーマーズ。

教室の席に詰まれた分厚い参考書を見るだけで嫌気が差しているようだ。


「うへぇ、例え攻略本でもこんな分厚い本読むのは勘弁やで」

「……八重花の……攻略ノートの量よりマシ……」

「あれは自分で確認するためのものだからいいのっ!」

「技のフレームを暗記するのなら得意なんだけどなー」


もうすぐ授業も始まる時間なので、ゲーマーズ以外にも生徒が集まってくる。


「こいつら、平日は学校で勉強尽くしなんでしょ?

 なのに土日もこんなとこで缶詰めなんて、頭おかしいんじゃないの?」

「パンピーにしてみりゃ、自宅に缶詰めでゲーム攻略してる奴のが変人やろうけどな」

「……あの子とか……すごい……」


亜理紗の指差す方を見てみると、まだ授業が始まる前にも関わらず、

参考書をババッと読み進めながらノートに要点を書き写している女生徒の姿があった。

黒髪を三つ編みにしたメガネっ娘で、絵に描いたような真面目な優等生だ。


「うわぁ……ああいう秀才さんってリアルに存在するんだ」

「いいんちょタイプって奴やな」

「あたしらも見習おうよ。そろそろ授業始まるし」


(キーンコーンカーンコーン)


チャイムが鳴り、講師が入ってきたので、ゲーマーズ達もおしゃべりをやめ、腹を括って授業を受けることにする。





(キーンコーンカーンコーン)


昼を跨いで総勢4時限にも及ぶ授業を、ゲーマーズは息も絶え絶えながらも何とか完走した。


「うー……今日だけで一生分の勉強をした気がする……」

「……同感……早くゲームのコントローラに触れたい……」

「まだ待ってくれ、後ちょっとで終わるから」

「佳奈美、まだ勉強してるの?」

「……佳奈美は一旦集中しだすと……すごい……」

「これでやっとるのが中学生用の英単語ドリルじゃ無かったら良かったんやけどな」


ともあれ久々にゲーム以外に全力を出したゲーマーズは、使命を果たしたとばかりに晴々と教室を後にしたのであった。

そのまま塾のある建物から出ようとするが、ふと八重花は隅っこのベンチに座っている人影を見つける。


「秀才さんじゃない、あんなところで何を――あっ!」


何かを熱心に覗き込む彼女が手にしていたのは、辞書でも単語帳でもなく……。

紛れも無い、最新型の携帯ゲーム機だった。


「ね、ね、ね! あなたもゲームやるんだね!」

「えっ!?」

「あたしもゲーム大好きなの! 秀才って、ゲームやらないものだと思ってた!」


お仲間を見つけたとばかりに食いつく八重花。


「ねぇ、何のゲームをやってるの?」

「い、いえ、これはその……し、失礼します!」


秀才少女は慌ててゲーム機を鞄にしまうと、そのまま逃げるように駆け去ってしまった。


「ちぇー、つれないなぁ。……あれっ?」


八重花はベンチに携帯ゲーム機が落ちているのに気付く。

これは先ほどの秀才少女が持っていたものだ。

裏には『田宮昌子(たみやしょうこ)』と名前の書かれたシールが貼ってある。


「あー、ウチも慌ててる時はたまにやるわ。中に入れたつもりが、身体と鞄の隙間に入れてしまうんやよね」

「で、何のゲームやってたのかな」

「おいおい、勝手に人のゲーム始めるなよ」


などと言いつつ、佳奈美も興味しんしんだ。

電源が入ったモノクロ液晶に表示されたのは、『NETRIS』の文字。


「ネトリスか。定番中の定番の落ち物パズルだな」

「……昔……ライト層を中心にブームが起きた……」

「勉強の息抜きにハマったクチかい。よくある話やな。」


そのままワイワイとネトリスの思い出話に花を咲かせる三人。

そんな彼女らを他所に、八重花は驚愕に目を見開いていた。


「……ねぇ。あんたらのネトリスのハイスコアっていくつ?」

「何、突然? 確か500万ぐらいだったと思うけど」

「……800万……」

「へっ、その程度かい! ウチなんて1400万――」

「9000億」

「………は?」

「正確には、九千九百九十九億九千九百九十九万九千九百九十九点……」


999,999,999,999


八重花が突き出した携帯ゲームのディスプレイには、確かにそう表示されていた。


「ネ、ネトリスをカンストやとぉ!? 冗談やろっ!?」

「あたし、自己ベスト出すのに1時間はかかった気がするんだけど……」

「……こんな記録出すほどネトリス続けたら……頭おかしくなりそう……」

「むしろ頭がおかしいからこその秀才かもしれへんな……」

「でも、こんな腕を持っててしかも秀才。長官の要求にピッタリじゃない?」

「確かにな、勧誘してみる価値はあると思う」

「で、ヤエちゃんのハイスコアは?」

「さぁ、急いであの秀才さんを探すわよ!!」

「…………誤魔化した…………」


早速ゲーマーズは、秀才少女――田宮昌子の後を追って駆け出した。

ほどなくして、しずしずと家路についている昌子の姿が見つかる。


「ねぇ秀才さ……昌子さん、待ってよ!」


八重花に呼び止められた昌子は、相手がさっきの少女だということに気付くと、目を泳がせる。


「……な、なんですか、貴方達? わ、私に何か用事でも?」

「ウチら、みんなゲーマーなんや。いいんちょもそーなんやろ?」

「ち、違いますよ! 学問一筋の私がゲーマーのはずないじゃないですか!」

「でも、さっき落としたコレは……」

「あっ!」


八重花が差し出したゲーム機を、昌子は慌てて奪い返す。


「こ、これは勉強の息抜きにちょっとやってただけです! 私はゲームなんてこれぐらいしかやったことありません!」

「……やっぱり……ただのライトゲーマー……?」

「いや、でもみんな始まりはライトゲーマーやし」

「そうだな、これから経験値積めばきっと――」



ドガァーン!!



その時、爆音が辺りを包む。


「な、なに!?」

「アンチャーだ!!」


佳奈美の言うとおり、空から爆弾のように降ってきたアンチャーの群れだった。

昌子を勧誘しているところだったが、今はこっちに対処せねばなるまい。



『『『『プレイ・VR!!!』』』』



ゲーマーズは即座に変身し、名乗りを上げる。



「欲するは強敵、そして勝利のみ。

 道を追い求め続ける孤高の戦士……『G・ファイター』!!」

「千分の一秒を削るのに命を賭ける。

 音すら置き去りにする光速の戦士……『G・ドライバー』!!」

「狙った獲物は逃がさない。

 視界に映る全てを射抜く戦慄の戦士……『G・シューター』!!」

「あらゆる死地を活路に変える。

 フィールドを駆け巡る躍動の戦士……『G・アクション』!!」



『『『『四人揃って、ゲーマーズVR!!』』』』



『エマージェンシー、エマージェンシー! アンチャーが――』

「遅いわ長官、もう変身しとる!」


ゲーマーズ達がいつもの軽いノリで戦闘態勢に入る一方、

それを目の当たりにした昌子は腰を抜かしていた。


「ゲ、ゲーマーズVR!? ほ、本当に実在したなんて……」

「ほな、いいんちょにゲーマーズってもんを見せ付けとこか」

「そうだな、その方が後で説明する手間も省けて楽そうだ」


言うが早いか、ゲーマーズは散開して戦闘を開始する。

まずは千里がブルドーザーで敵を蹴散らし、討ち漏らした敵は佳奈美がトドメを刺して回る。

一方で、八重花は飛行するアンチャーを足場に空中を制し、

それをフォローする亜理紗の正確な銃弾がアンチャーの脳天を打ち抜いていく。

たまたまゲーマーズが現場にいたこともあり、アンチャーは体制を整える間もなく総崩れとなり、撤退を始める。


「逃がさないよっ!!」

「あっ、待てや! 奴らは追っても無駄やって!」


千里の静止も聞かず、八重花は一人でアンチャーを追って行ってしまった。


「……ま、すぐに戻ってくるやろ」


八重花をほっとくことに決めた千里は、へたり込んでいる昌子に振り返る。


「さてどうやろ、いいんちょ?

 ゲーマーズの仕事ってこんな感じやけど、

 ウチらと一緒に正義のために働いてみる気はあらへんか?」


良い返事が貰えると高を括り、軽い調子で尋ねた千里だったが……。


「何が正義のためよ……貴方達のやっていることはただの殺し合いじゃないっ!」


当の昌子は、目を剥いてゲーマーズを批難してきたのだ。


「そ、そう言わんといてや……ウチら、同じゲーマー同士やろ?」

「あ、あなた達と一緒にしないで!

 私は絶対に貴方達みたいな人に力は貸さない!

 どうしてもって言うのなら、その銃で好きにすればいいわ!」

「…………っ…………」


カッとなって思わず腰の銃に手をかけかけた亜理紗だが、流石に思いとどまる。


「……私、帰ります。もう二度とゲーマーズなんかに勧誘しないで下さい」


小声で、しかしハッキリとそれだけ言い、昌子はゲーマーズに背を向け、立ち去っていった。


「……………………」


ゲーマーズの間に、重い沈黙が流れる。

その時、アンチャーを追っていた八重花がふらっと帰ってくる。


「アンチャーども、異次元空間に消えちゃって……あれ、秀才さんは?」

「それがなぁ……」


千里は八重花に事情を説明する。


「……あの秀才さんが、本当にそんなことを言ったの?」

「マジやから困る」

「……嘘ついて……どうする……」

「でも、確かに彼女の言うとおりだよ。あたしらがやってるのは、ただの殺し合いだ」


佳奈美の一言で、ゲーマーズの間に暗い空気が漂い始める。

……が、八重花だけはそんな面々を困ったような顔で眺めていた。


「その……言いにくいんだけど……」

「ん、なんだよ?」

「……えーと、ちょっとあんたら家まで来て!」


八重花に無理やり引っ張られるように、ゲーマーズは八重花の自宅に向かった。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




『何が正義のためよ……貴方達のやっていることはただの殺し合いじゃないっ!』

『どうしてもって言うのなら、その剣で好きにすればいいわ!』


TV画面に台詞が表示される。しかもフルボイスである。

ゲーム機に刺さっているソフトは、

シミュレーションゲームのファイターエンプレス。

ガチンコの高難易度でゲーマーを唸らせる一方、魅力的なキャラクターでライト層にも一定の人気を誇るタイトルだ。


「なんだコレ!? 彼女が言ってた言葉そのまんまじゃないか!」

「これ、めっちゃ有名な台詞だよ。あちこちでネタにされてるし」

「……要するに……ゲームの受け売り……?」

「どうでもええけど、その台詞一つ聞くのにエラい損害やな」

「う、うるさい! 思考系は苦手なのよ!」


千里の言うとおり、八重花操る味方の軍勢はほぼ壊滅状態だった。


「でもゲームの台詞を暗記して、しかもリアルで使うなんて、

 やっぱりあの昌子って子はライトゲーマーじゃないってことか?」

「どーだろ? このシリーズはライトでも好きな人多いし」

「……ライトは……1本のソフトにハマると結構やりこむ……」

「でもなぁ……」


佳奈美に八重花に亜理紗はあーだこーだ言いあってるが、そんな三人を他所に、千里は何か思うところがあるようだ。


「……うーん、まさかとは思ったが、やっぱりそうみたいやな」

「何が?」

「実はな、ウチも独自に凄腕のゲーマーを探しとってな」

「八重花の時みたいに?」

「せや。それで目ぇつけといたのがコイツや」


千里はWEBサイトの画面を印刷した物を差し出す。

それはPCゲームのエイジオブヴァンパイア……の、オンラインランキングだった。


「これって確かRTS(リアルタイムストラテジー)の奴だよね」

「ストラテジー? なんだそれ?」

「……シミュレーションゲームの……すごい奴……」

「まぁ噛み砕いて言えばそうやな。で、この1位のプレイヤー見てみ?」

「……『syo-ko』……つまりショーコ……」

「これが田宮昌子……あの秀才さんだって言いたいのか?」

「本当に? オンラインの1位って相当やりこまないと駄目だよ?」

「まぁネトリスの件を考えたら納得は出来るかな」

「シミュレーションとパズルって本質的には似とるからなー」

「……裏……取った方がいい……」

「そーやな、長官に頼んでみよ」


例によってブレスレットで呼び出した長官をコキ使った結果、あっさりと『syo-ko』=田宮昌子が判明した。


「これで、いいんちょはライトゲーマーを自称しとるが、

 実態はヘビーゲーマーそのものの隠れオタっちゅーのがハッキリしたわけやな」

「だとしたら何で隠してるんだ?」

「そりゃアレだよ、優等生な自分のイメージを崩したくないんじゃない?」

「ありがちやけど切実な理由やなー」

「じゃあ後はこれらの証拠を本人に突きつけて勧誘するって方向でOK?」

「……異議なし……」

「昌子に証拠……ぶふっ」


自分の親父ギャグに勝手にウケている千里は置いといて、ゲーマーズ達は昌子を人気の無い場所に呼び出すことにした。









今は既に使われていない電波塔。

そのふもとで、ゲーマーズは昌子と対峙していた。

ちなみにここは「人が来ないから」と昌子の方から提案された場所だ。


「どや、ネタは上がっとるんやで! 言い逃れできるもんならしてみぃ!」

「ゲーマーとしての力を思いっきり振るえるんだ、悪い話じゃないだろう?」

「……大義名分のある破壊……甘美……」

「ちょうどあなたみたいなゲーマーが必要だったの、お願い!」

「わ、私は……」


詰め寄るゲーマーズに対し、昌子は小鹿のようにプルプル震えていたが……。


「わ、分かりました……貴方達の、仲間になります……。

 だから、私がゲームオタクだってことは誰にも言わないで下さい……」


集めた脅迫ネタの数々が功を奏したのか、昌子は割りとすんなり承諾した。


「ハナシわかるなぁ、やっぱり秀才はんは違うわ」

「はい、これブレスレット! 早速変身してみて!」

「……キーワードは……『プレイ・VR』……」

「りょ、了解しました……」


昌子はおずおずとブレスレットを受け取り……。



『プレイ・VR!!!』



そう叫ぶと同時に、彼女の身体にアーマーが装着される。

昌子が変身したのは、情報処理能力に優れた『G・パズラー』だ。


「よっし、これで仲間が5人に増えたな!」

「これからよろしく頼むで、いいんちょ――」


バシッ!!


「愚民どもがわたくしに触れようなんておこがましいのよ!」


昌子の肩に手を回そうとした千里の腕が払いのけられたのだ。


「はぁっ!? 何のつもりや!?」

「つーかなんだよ、あの金髪のカツラ!?」


佳奈美の言うとおり、昌子の頭には、いつの間にか金髪くるくるのツインテールのカツラが装着されている。

口調や表情が高飛車になったのも相まって、普段の彼女とはまるで別人のようだ。


「その格好、もしかしてファイターエンプレスの……?」

「そうよ、カラリーネのコスプレよ、文句あるっ?」

「……なら……メガネ外せ……」

「外したら見えないんだから仕方ないじゃない!! ……っとと」


ゲーマーズのペースに乗せられそうになってしまった昌子は、コホンと咳払いをして仕切りなおす。


「大体、あなたたちはゲーマーを名乗ってらっしゃるくせに、

 ファイエンの名台詞の一つも知らないなんてどーいうことでございますの!?」

「いや、知らなかったものは仕方が無いだろう」

「ファイエンは国民的名作でございましょーが! 勉強が足りませんのよ、勉強が!」


昌子は頭に湯気を立ち上らせて説教するも、

ファイターエンプレスにさして興味の無いゲーマーズ達には返答のしようがない。


「ともかく、わたくしの秘密を知った貴方達には、全員この場で消えてもらいますわ!

 そう……貴方達自身から頂いた、このアーマーの力を使ってね!!」

「な、なんやてっ!?」

「なんて卑怯な奴なんだ、八重花以下じゃないか!」

「だからイチイチあたしを引き合いに出すのはヤメロっ!!」

「兵は詭道! 簡単に騙されるおバカなあんた達が悪いのです!

 さぁ、貴方達にも以前わたくしが受けた苦痛を味わって頂きますわっ!!」

「……何する……つもり……!?」





『闘え!!ゲーマーズVR5』


   To be Continued...



  ゲーマーズの戦いは終わったわけではない。

  この続きは、期待の次回作で……!



スーパーフレコン用ソフト

『闘え!!ゲーマーズ6 ~対決、G・パズラー!~』

   Coming Soon...




「なっ、これ1本だけじゃシナリオ完結しないんか!?」

「分割商法なんて汚いぞっ!!」

「おーっほっほっほ、続きが知りたければまたフルプライス払いなさい!」

「……ま……なんだかんだで買うんだけどね……」


さぁ、モニターの前のみんなも続編を買いにゲームショップへGO!

……えっ、今時はDL販売?

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