第20話
「ある日の朝、腹が減って朝早く目が覚めた。水で腹をいっぱいにしようと公園の水飲み場でがぶ飲みしていたとき、公園のそばを通りがかったおっちゃんがバイクから降りてきて、声をかけてきた。
『君。うちで働かないか?』
とそのバイクのおっちゃんはいったんだ。
私は最初はとても警戒したよ。私は公園のゴミ箱に捨てられていた新聞でいろんな情報を得ていた。
SNSで振り込み詐欺の掛け子を集めていた時代だったからな。
そのおっちゃんは『急にアルバイトの子がやめてしまって、人手不足なんだ。私は腰痛もちでこのバイクに乗るのもひと苦労なんだよ。
もし、働く気があるならここに来なさい。』といって住所が書いた紙と新聞販売店の名前だったよ。
一晩考えたけど、いつまでもこんな生活では、自立もできなければ、伯父達を訴えることも、また妹を探すこともできなかった。
だから決心したんだ。そのおっちゃんの仕事をすることにした。
次の日、その新聞販売店に行ってみると、バイクや自転車が何台も並んでいて、次々と新聞を乗せたバイクが出ていった。
おっちゃんがちょうど外に出てきたので、働く意志があることをつたえた。
その販売店は新聞社がやってる奨学金制度があったし、寮もあって食事も朝と晩はでるし、小さい部屋だったが、プライバシーもまもられていてやっと路上生活から抜け出すことができる光を見つけた気がしたよ。」
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