第12話

信じられないのは、13歳の彼女を知っている僕たちだ。人生をこんなにも大きく変えてしまった先生の偉大さを改めて知る一日だ。


香織は付け加えてこう言った。


「あっそれからね。私が母親の不倫でできた話ね。あれは間違いだったの。

痩せてきたら、なんか理髪店の父に似て来たし、母に確かめたら、大笑いされたわ。私はあなたと同じでイケメン好きですってね。」


「まったく~。思い込みってこわい~」力が笑いながら言った。

「それにしてもさっきから気になっていたんだが、そのリング昴とペアじゃないか?お前たちまさかのまさかかよ。」


孝弘も「ほんと気になる。俺たちは昔の鈍感野郎とは違うんだぜ。あの日以来人間観察能力に磨きがかかってんだからな。」


僕は「しょうがないな。もっとあとで君たちを驚かそうと思っていたんだけど、ばれては仕方ない。僕たちは26歳になったときに偶然出会ったんだ。


香織の店とは知らず、ネットで検索したらよさそうな店があったんで、マッサージを予約して受けにいたんだ。


すると受付に香織がいて、最初は顔見てもわからなかったんだけど、『昴?昴じゃない?』ていう声で記憶はよみがえったよ。


それから、懐かしがったり、お互いのストーリーを話したりして何回か会っているうちにそういうことになっちゃって~。


32歳で結婚したんだ。籍だけ入れて、結婚式はあげてないんだけどね。なにしろ、二人とも超忙しい日々を過ごしていたからな。」


「僕の話はかなり長くなるので、孝弘、先に君の話を聞きたいよ。」

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