第8話
最近母との会話が漫才のようで、僕はよく笑うようになっていた。母は勉強ができる秀才だったのかもしれないが、天然なところがあってよく、家でもドジな面を思いっきりみせていた。
その飾らない人柄が県で一番の進学校をつくり、正直で明るくエネルギッシュな性格の母が先生たちを指導し、引っ張っていってのではないのかと冷静に評価できる自分がいた。
父親は相変わらず、手術のことしか考えていなかった。それでも、その手で何人もの命を救ってきたかわからない。
最近は他県だけでなく、諸外国から感謝の手紙や贈り物が断っても断っても送ってきている。もっとも、日本人の僕たちにはどうやって使うものなのか全くわからないものもあるが。
自分は父親と同じ道は歩かないと思っていた。自分の道ががなんなのかは、まだわからなかったが、今の自分にできることを精いっぱいやろうと決めていた。そう決めたとたん、いろんな雑念がなくなり、一日一日を一生懸命生きた。
毎日の授業でわからないことは、職員室に聞きに行くこともした。またできるやつをつかまえてわかるまで質問した。
力はといえば、英語が得意になったらしく、英会話を習いだしたらしい。
そしていつの間にか、生徒会長になっていた。
女子生徒の人気をかっさらって、卒業式にはまるで芸能人のようにすごいことになっていた。
僕たちは40歳の春に再開することを、約束してそれぞれの道を歩み始めていた。
そして、平成の時代が終わり新しい時代を迎えていた。
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