第7話

「50代くらいの男性です。おしゃれなストライプのシャツが印象的です。靴も雑誌で見たことがある最新デザインです。街に一人で出てきてるのには家族がいないからなのかな~。あれだけのおしゃれに気を遣えるのは結構裕福な方だと思います。成功している経営者とか。

先生、やっぱこれも違ってますよね。」と孝弘が続けた。


「そうだな。なかなか彼は難しいな。身なりは最新の服だが、本当の財閥ではないかもな。」


先生はその人のことはあまり多くは語らなかった。


「君たちの年齢で会ったばかりの人を見ることは難しかったな。


でも、人をみかけだけでは判断してはいけない位はわかってくれたかな。


ついでに僕の先輩の話をするとね、彼は営業の仕事でトップセールスマンだったんだ。ある日キャッシュでベンツを買うつもりで現金をもってディーラーに出かけていったんだ。

いつもは、高級スーツを身にまとっているのだが、その日は膝の部分が破れたジーンズにTシャツででかけたらしい。


1時間ほどその店にいたんだけど、誰一人そこのスタッフが話しかけてこなかったらしいよ。1台でも売りたいであろうはずなのに、みかけで判断した結果、その店舗は売り損ねたってことだよね。彼はよその店で買ったそうだよ。


そうそう、それと話は少し変わるがこの際いっておくと、香織はいじめを苦にしているが、お前みたいな優しい子を捕まえて、いじめる奴はよっぽど心がねじ曲がっているか、あるいはその子が家庭で認めてもらえず、どうにかして自分の存在を知らしめたいか、まあそんなかわいそうな人間なんだよ。



私は知っていますよ。玄関先に私が植えたパンジーにそっと水をやってくれていたのを。


あなたにはクラスの友達は必要ないです。


志の高い人ですから、クラスの子たちの顔色を気にせず、今は、勉強だけをしておきなさい。きっと流れが変わる人世逆転の日が来ますよ。


それとここに一生共に刺激しあういい友ができたではないですか?」


「そうだ、そうだ!」と力がいって、僕たちも大きくうなづいた。


一生かどうかはわからないが~と思いつつも!

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