第28話 色々考え込んでしまって
「ふぅ、食った食った。」
俺は、満腹になった腹を抑えながらみんなと部屋へ戻る。
夕食も沖縄の名物がよくでてきた。少し、名前が変なものもあったがどれも全て美味かった。
みんなも満足したような表情だ。
そして、部屋に着いて次に用意したのは風呂の準備だ。
「ここの温泉は、肌にいいんだって。すごいすべすべツルツルになるそうよ。」
「へぇ、忍さん、よく知ってますね。」
「ある程度は、ちゃんと調べてあるわよ。あ、ちなみにここは、混浴もあるみたいよ。陽一君と静香……」
「入りませんよ!」
「入らないから!」
「やっぱり?」
さ、さすがに小学4年生の子どもと混浴とかさすがに無理がありすぎる。
ってか一緒に入った時点で俺は、社会的にも人生的にも全てが終わる。
ということで俺と和博さんは、男湯に静香と忍さんは、女湯に入った。
「はぁ、気持ちいいね〜、陽一君。」
「はい〜、すごい気持ちいいです〜。」
「………ねぇ、一度聞いてみたかったんだけどさ、陽一君は、静香のことが嫌いなのかな?」
「え?ど、どうしてです?」
「いや、すっごい許嫁として嫌がってるようだし中も悪そうに見えるからね。」
「………嫌いではないです。ただ、やっぱり10歳の子どもと婚約関係を持てと言われるのはさすがにきついですね。俺もまだ高校2年生ですし、そういうことはまだよく考えられないんですよ。」
「ふむ、そういうものか。まぁ、でも、嫌ってないだけまだマシだよ。少し自慢になるが僕の娘は、結構可愛いと思うんだがどうだろうか?」
「ま、まぁ、確かに可愛いですよ。でも、やっぱり俺が静香のことを嫌っていなくても静香が俺の事を嫌っていたら俺が近づこうとしても静香は、心を開けてはくれません。」
「………ねぇ、陽一君、ここら辺のこととか見覚えってないかな?」
「見覚えですか?いいえ、ないですよ。と言うよりも俺、沖縄きたのこれが初めてなので。」
「………そうか。ごめんね、変な事聞いて。」
「いえ、別にいいですけど……」
俺の返事を聞いて和博さんは、少ししょんぼりとした表情を取った。
俺は、話題を変えるべくどんなことを話そうか悩んだ末に俺も気になっていたことを一つ聞こうと思った。
「あの、和博さん、一ついいですか?」
「ん?なんだい?」
「どうして俺なんかを許嫁にしたんですか?和博さんの昼の口振りからすると他にも親戚は多く居て恐らく同年代とは言わずとも俺よりは静香に年代が近い人が居るんじゃないんですか?」
「え?そ、それは……えっと……ごめん、僕の口からは言えないことなんだ。」
和博さんの口から言えないこと?どういうことなんだ?
なんか、厳正な審査を通って俺が許嫁になったとか?そして、その審査は、外には出していけないという理由で俺に教えなかった?
それともその逆で適当に選んで俺だったから言えないのか?
う〜ん、なんか、どっちもしっくりくるけどこんな理由じゃなさそうなんだよな。
まぁ、どれも俺の推測に過ぎないんだけど。
「ま、それはいつか陽一君に分かってほしいんだ。」
「俺に分かってほしい?どういうことです?」
「それも内緒だね。それじゃ、僕はそろそろ上がるけど陽一君は、どうする?」
「俺は、もう少し入ってます。」
「分かった。じゃ、また後でね。」
和博さんは、そう言って風呂場を後にした。
和博さんが言っていた俺が静香の許嫁になった理由を俺に分かってほしいという言葉。
恐らくそこにこの前、静香が機嫌を悪くした理由があるんじゃないかって俺は、思っている。
だが、なんだ?俺が静香の許嫁になる理由って。
頭は、悪い。運動神経は、まぁ、そこそこだけど帰宅部。そんな俺になんか、許嫁にする理由ってあるのか?
俺は、そんなことを考えているとだんだん目が眩み始めた。
ん?なんだこれ?まぁ、いいや。ちょっと暑くなってきたしそろそろ出るか。
俺は、そう思い風呂を出ると急に目眩が激しくなりその場に倒れ込んでしまった。
あ、しまった。こりゃあれだな。のぼせてしまったな。
俺は、周りが少し騒ぎ始めたのを最後に意識が飛んでしまった。
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