第27話 許嫁としての挨拶とか
「んぐ、んぐ………んくっ!………うん!すっごい美味しいですね!この沖縄そば!」
俺たちは、昼食をホテルの近くにあった沖縄そばを出している店に入った。
沖縄そばを食べるのは、初めてだったがとても美味かった。
ちなみに静香のそばをちゅるちゅると食べている姿はめちゃくちゃ可愛い。
「このあっさりとした出汁にちょっと独特な麺がよくあってとても美味しいです。」
「うん、確かに美味しいね。」
「俺って沖縄そばを食べるのって初めてだったんですがなんか、気に入っちゃいました。」
「私もすごい気に入ったわ。ん〜、美味しい。」
「静香は、どうだ?気に入ったか?」
「はい、結構美味しいです。」
どうやら沖縄そばは、みんなに好評のようだ。
みんな、その後は沖縄そばを堪能した。
「あ、そう言えば陽一君、今日はこれからちょっと親戚に顔を出したりするけどいいかな?」
「はい、もちろん構いませんよ。」
「ありがとう、それと君もちょっと挨拶して欲しいんだけどな。」
「お、俺もですか!?ど、どうして!?」
「まぁ、それは……せっかくだしね。わざわざ来てもらったのに一日目から何もしないなんて嫌だろ?だからね。」
「べ、別に嫌じゃないんですが………わ、分かりました。連れてきてもらってる身ですからね。」
「ありがとう。それじゃ、みんな食べ終わったことだしそろそろ出るよ。親戚の家にはこのまま直接行くからね。」
和博さんは、そう言って会計を済ませた。
そして、店を出た後俺たちは、バスに乗って和博さんの言っていた親戚の家へと向かった。
バスに乗って移動したのは約30分間。
その際俺は、どう挨拶しようかずっと考えたがいい案が出ずその場の勢いに任せることにした。
「やぁ、待っていたぞ、和博。」
「こうやって会うのは数ヶ月ぶりだよね、郁弥。」
「あら、忍さんと静香ちゃん、また綺麗になったんじゃない?」
「ふふ、何言ってるんですか、美玲さん。美玲さんこそ綺麗になってますよ。」
「そう?お世辞だとしても嬉しいわ〜。」
今さっきから和博さんと話している男性が|神崎(かんざき) |郁弥(ふみや)さん。忍さんと話している女性が|神崎(かんざき) |美玲(みれい)さん。
二人とも、すごい優しそうな人たちだ。
なんかこういう格式の高い家柄の人たちってもっと威厳があったり近づけないようなそんな感じがするもんだと思ってたけど全然違うんだな。
「ん?もしかしてそっちの男の子って……」
「ああ、紹介が遅れたね。………僕の娘の許嫁である上ノ原 陽一君だよ。」
「「っ!?」」
「おお!やっぱりか!なかなかの男前だな。……って待てよ?上ノ原ってどこかで聞いたことがあるような……」
「ま、まぁ、それは置いといて陽一君、挨拶してくれる?」
「は、はい。」
くそ、和博さん、俺を騙したな。いや、静香も驚いていたから静香にも黙っていたんだろう。許嫁と紹介するならそう言っててくれたらよかったものの。
ってか俺も考えればわかる事だったじゃないか!俺と竹本家の関係は、静香との許嫁で繋がっている。だから、絶対に他の親戚に許嫁ができたと紹介するはずだ。
はぁ、まぁ、今頃どう考えても遅いか。
ここには連れてきてもらってる身だからちゃんと挨拶しないと。
「初めまして、郁弥さん、美玲さん。お……私は、許嫁(仮)をさせてもらっています、上ノ原 陽一と申します。よろしくお願いします。」
「ああ、よろしくね。しっかりしてる子だね………って、許嫁(仮)って何?」
「まだ、私と静香は、お互い受け入れられないので今は、そういう形にさせてもらってます。」
「そうなんだね………静香ちゃんと仲良くするのは難しそうだけど頑張ってね。」
「はい、結構苦労していますが頑張ります。」
まぁ、こんなものでいいだろう。
その後、1時間ほど神崎家に居座って話をした。
まぁ、話の内容は俺が入れるものと入れないものがあったのでそこまで詳しく分からなかった。
「それじゃ、そろそろお暇させてもらうよ。」
「もう帰るのか。また来てね。陽一君もまた顔を見せてね。」
「は、はい、またここに来た時は伺わせてもらいます。」
なんかすごいぎこちない挨拶だったけどまっいっか。
ってか、やっぱり初対面の人と話すのは緊張するもんだ。結構疲れた。
俺は、そんな疲労を抱えながら神崎さんの家を後にした。
「陽一君、ごめんね、急にあんな挨拶させちゃって。」
「い、いえ、大丈夫ですよ。無事に済みましたし。…………でも、やっぱり俺と静香は、親戚には許嫁って紹介するんですか?」
「……うん、そのつもりだよ。まだほかの県にも親戚が大勢いるからまたいつか挨拶して欲しいんだけど……お願いできる?」
「………分かりました。」
正直に言うとものすごい断りたい。俺も静香も望んでないのに結婚なんてしたくはない。だから、挨拶回りに行くのもゴメンだ。
だけど……やっぱり家の事情があるんだろうからそう易々と断ることは出来ない。
でも、いつかはちゃんと蹴りをつけときたい。本当に俺と静香がお互い好きになれたら……まぁ、そんなことありえないよな。
…………だって俺は、ロリコンじゃないんだから!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます