第20話 体育で起こった悲劇

「陽一!今だ!シュート!」

「おう!いくぜぇ!おりゃっ!」








 太輔からのパスを受け取った俺は、利き足の右でゴールへと蹴り飛ばした。

 そのボールは、綺麗な一直線でゴールネットへと突き刺さった。







「ナイッシュー!」

「よっしゃぁ!」

「太輔、陽一、やっぱりお前ら連携上手いな。」

「ははっ、康介も中々のディフェンスだったぞ!だが、相手が悪かったな!この俺、サッカーの天才と呼ばれた太輔様が相手だったからな!はっはっはっ!」

「いや、今のは俺の動きだしていいところに動いたからお前のパスが通ったんだろ?だから今の活躍は俺のもんだ!」

「はっ!?何言ってんだ!?ナイスパスをした俺だろ?」

「2人とも落ち着けって。2人でゴール前に持ってきたんだから2人の活躍のおかげだって。ほら、そろそろ試合再開しないと体育の先生が怒るぞ?」

「あっ!そうだった。急いでもどるぞ!太輔!」

「おお!」










 俺と太輔は、急いで自陣のフィールドに戻り試合を再開する。

 今は、体育の時間。今日は、男子がサッカー、女子が野球というものになっている。

 チームは、クラスを半々にして作る。

 そして、俺と太輔は一緒になり康介は相手チームになった。

 今、真面目にこのサッカーをやっているのはこの3人とクラスの中にいるサッカー部くらいで他は、女子の方に集中している。全く真面目にやって欲しい。

 と言いつつ俺も少し横目で見てしまう時はある。仕方ない。それが男ってもんだ。









「あっ!陽一君!そっちボール行っちゃった!」

「ん?おわっ!?あぶっ……かはっ!」








 優奈の声がしたと思ったら上の方から拳程度ボールが俺に落ちてくるのに気がついて咄嗟にそれを避けた………が、ボールが跳ねてしまい男の大事な部分に当たってしまった。

 俺は、大事な部分を抑えて痛みを堪える。








「だ、大丈夫!?」

「……あ……ああ……こ、これくらい……なんともない……」

「ほ、本当?涙目だし声震えてるよ?」

「ぜ、全然……平気……だ……」

「ほ、保健室に行く?」

「い、いや、この程度……すぐに治る。だから……優奈も……早く戻れ……」

「で、でも………」

「水城、陽一の言う通りだ。これは男に生まれたからには味合わなくてはいけない痛みなんだ。それに数分したらすぐに治るから安心しな。」

「本当に?」

「ああ……本当だ。」

「ご、ごめんね、本当に。後でなんかお詫びするから。」








 優奈は、そう言って女子の方へ向かっていった。

 うぅ……痛い。








「さてと、昼飯だ!」









 体育が終わり、その後の眠くなる授業が終わり昼休みになった。まっ、そうは言うが体育以外の授業はだいたい寝ているが。

 俺は、いつものメンバーで机をくっ付けて弁当箱を取り出す。

 いつものメンバーとはこの前、喫茶店に行った俺、太輔、優奈、康介、麻美の5人である。

 ちなみに俺の弁当は、いつも麗華が作ってくれている。本当に感謝してもしきれないくらい麗華には迷惑かけてるな。









「さて、今日のおかずはなんだろなー。」

「毎回言うよな、そのセリフ。そんなに弁当のおかずが楽しみなのか?」

「毎回麗華が早起きして作ってくれるんだぞ?楽しみにしない方がおかしいだろ?」

「うわっ、シスコン出たよ。」

「何がシスコンで悪い!?」

「陽一君、認めちゃうんだ。」

「そんなことはもういいから早くご飯食べよ?私、もうお腹すいちゃった。」

「ちなみに麻美の弁当は、俺が作らされてる……」

「ばっ!?なんで言っちゃうの!?」

「毎回作らされる方の身にもなってくれよ!」

「うっさいわねぇ〜、悪いと思ってるわよ。毎回ありがとう!」

「全然感謝の気持ちがこもってない!?」

「まーま、兄妹仲がいいのはいいことじゃないか。」

「お前みたいなシスコンにすんな!」








 と、こんな感じに騒ぎつつ弁当を食べていくのだった。









「あ、陽一君、今さっきのお詫びにこれ、あげるよ。」

「ん?あっ、これって、優奈の手作りの唐揚げ?いいのか貰って?」

「うん、お詫びだからね。」

「ありがとう!優奈は、料理が上手だからすっげぇ嬉しいんだよな!」

「〜っ!そ、そうかな……あ、ありがとう。」

「こっちこそ、ありがとう!それじゃ、有難く貰うよ!」








 俺は、優奈から貰った唐揚げを一口で食べる。








「うん!いつもながら美味い!」

「そっか、良かった。」

「麻美も少しは料理が上手くなって欲しいものだ。」

「う、う、うっさいわよ!?ちゃんと努力してるわよ!」

「はぁ〜、どうだか。」

「あっ、そうだ!みんな明日暇?」








 優奈が手を叩いて俺たちに向けてそう言ってきた。









「俺は、いつも通り暇だな。」

「俺も明日は部活が休みで久々の一日休みだ!」

「俺も暇だな。麻美もだろ?」

「なんであんたが私を勝手に暇だって決めつけてんのよ?まぁ、暇だけど。」

「みんな暇なんだ!それじゃあ、明日、休日だしみんな家に来ない?今日、ケーキ作るんだ。」

「へー、またケーキ作るんだな。優奈のケーキは、すっごい美味いからもちろん行くけど。」

「俺は、まだ水城の手作りケーキは食ったことないな。俺も行くよ!」

「俺も行きたい!」

「私も久しぶりに優奈の手作りケーキ食べたい!」

「じゃあ、みんな来るってことでいいね?」

「ああ、それでいいな。でも、太輔と康介はまだ優奈の家、知らないから俺が連れていくよ。」

「助かるぜ。」

「あっ、私は優奈の手伝いしようか?」

「あ、いいの?ありがとう!」

「何時くらいに行けばいい?」

「ん〜、10時くらいに来てくれるかな?昼ごはんのデザートとして出したいから昼ごはんも用意したいし。」

「分かった、それじゃあ、10時に優奈の家に行くね。」

「なら、俺たちは11時にいつもの駅に集合ってことでいいか?」

「ああ、構わない。」

「俺もそれでいい。」









 ということで明日の予定は、久しぶりにみんなで遊ぶことになった。

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