第8話 友達と騒ぎました

「陽一、退院おめでとー!!かんぱーい!!」

「「「「かんぱーい!!」」」」





 俺たちは、前もって予約していた(していてくれた)いつもの喫茶店で俺の退院祝いをしていた。






「俺、嬉しいよ。こんなにいい友達をもてて。」

「まっ、俺たちも遊びたかっただけだからあまり気にすんな。陽一の退院祝いはついでだ。」

「酷い!」





 俺は、あまりにも辛辣な太輔の言葉にグサッと胸をえぐられる。






「私は、ちゃんと心配していたから陽一君が帰ってきて嬉しいよ。」

「ありがとう、優奈。俺の気持ちをわかってくれるのは長年の付き合いのお前だけだ。」

「俺もちゃんと心配はしてたぞ。でもそれよりも遊び心が勝っただけだ。よくあることだろ?」

「それが酷いんだよ!」

「なら、お前は俺が数日入院して退院したら遊び心よりも俺の事を気にしてくれるか?」

「いや、たぶん俺も遊び心が勝つな。」

「おい、こらてめぇ!」






 俺と太輔はだいたいこうやってふざけ合う。まぁいつもの事だからみんな、俺と太輔の言い合いを止めようとはしない。






「こらっ!あまり大騒ぎするようなら店から追い出すわよ!」






 俺と太輔が言い合ってる中、ここの喫茶店の店員であるとても美しい女性、|大塚 晴美(おおつか はるみ)さんが頼んでいたジュースを持って俺たちの言い合いを止めに来た。






「ったく、君たちはいつも喧嘩するんだから。」

「ははっ、晴美さん、いつもすいませんね〜。」

「太輔君、そう思うならあまり騒がないように。」

「は〜い、善処します。」






 晴美さんは、俺たちのテーブルにジュースを置いていくと厨房の方へと戻った。






「お前たち、いつも騒ぎすぎだ。少しは店の迷惑を考えろ。」

「ははっ、悪いな康介。俺は、考えてるつもりなんだが、こいつがいつも俺に構ってくるもんだから。」

「はぁ?陽一、そりゃお前だろ?いつも俺に話ふっかけるのは!」

「二人とも、そういう所よ!」

「「……ごめんなさい。」」






 さすがに騒ぎすぎたと思いそれからは案外大人しくしていた。

 それから1時間ほど喫茶店で色々話してから今日は、解散になった。






「ん〜ん!今日も楽しかったね、陽一君。」

「ああ、そうだな。こうやって集まって遊ぶのも本当に久々だったからな。」

「陽一君、太輔君はああいっていたけど本当はみんな陽一君が入院しているって聞いた時すごい心配していたんだよ。」

「分かってるよ。ちゃんとそれくらいは。」






 ああ、ちゃんと分かってる。あいつらが人の心配をしない人とは思ってないからな。

 だからこそ、変に気を使わせないようにしようと思って俺と太輔はああやって言い合いをするんだ。





「あ、家、着いたね。」

「ああ、そうだな。」

「それじゃ、また明日。バイバイ。」

「ああ、また明日。」






 俺と優奈の家は、隣同士で昔からずっと帰る時は一緒に帰っている。行きも普通は一緒に登校するのだが今日は、俺が退院したことを教えてなかったので一緒には行けなかった。







「ただいま〜。」

「おかえり〜、お兄ちゃん。大丈夫だった、体の具合は?」

「ああ、全然平気だ!」







 俺が家に入ると何故かいつも玄関にいる麗華に挨拶した。

 麗華は、俺が無事とわかりホッとしてる。






「母さんは?」

「今出かけてるよ。またなんか大切な用事が出来たんだって。」

「え?それって……」






 またあれ……なのか?

 と、思った瞬間。






「ただいま〜。」

「あ、お母さん。」

「なんで玄関に集まってるのよ。早く中に入りなさいよ。」





 俺の後ろから母さんが現れた。

 母さんは、両手に荷物をぶら下げて帰ってきていた。







「母さん、どこに行っていたの?」

「買い物よ。今日は、超特売の日だから早くに行っていたの。」

「ああ、そう。」







 良かった、またあの幼女の所に行かされなくて。






「母さん、荷物持つよ。」

「あ、私も持つよ。」

「ありがとう、二人とも。」







 俺と優奈は、母さんの持っていた荷物を持って家の中へと入った。

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