第9話 お使いを頼まれて
「なんで……なんであんたがここにいるのよ!?」
俺は何故か、目の前にいる|幼女(いいなずけ)にいきなり怒鳴られた。
何故俺とこの幼女がいるのかっていうと少し時は遡り………
1時間前。
「陽一、あんたちょっと今から買い物に行ってきてちょうだい。」
「え〜、せっかくの休日なのに。」
「いいから、ほらこれを買ってきて。はい、これお金。」
「分かったよ。あ、お釣りはお小遣いでいい?」
「仕方ないわね。」
「よし!」
「あ、その買い物もう一人つい来るから。待ち合わせ場所は、12時に○○公園の噴水前だから。よろしくね。」
「え!?ちょっ、もう一人って誰!?母さん!?」
母さんは、それ以上応えませんと言うかのように俺を外に追い出した。
俺は、仕方なくその待ち合わせ場所の噴水前まで行った。
そして、今に至る。
「ちょっとあんた聞いてんの!?なんであんたがここにいるのよ!?」
「あー聞いてる聞いてる。だから、そんな怒鳴るな。」
俺は、何とか静香をなだめる。
ったく、なんでいつもこいつ怒ってんの?カルシウム足りてる?
まぁ、そんなことはどうでもいい。
「俺は、母さんからここで待ち合わせしている人がいるから待っとけって言われたんだよ。静香はなんでここにいるんだよ?」
「私もお父様からここで待ち合わせしている人がいるから待っとけって言われたのよ。」
時間は12時ちょうど。周りには静香以外誰もいない。
と、いうことは………いや、まだ希望はある。
い、一応母さんに連絡するか。
俺は、スマホを取り出し母さんに電話をかけた。
「母さん?」
「何?お使いのメモなくした?」
「さすがにそんな子供がするようなミスしねぇーよ!それよりも全然待ち合わせしている人が来ないんだが?」
「あれ?まだ静香ちゃん来てない?」
「やっぱり静香だったか!静香なら目の前にいるよ!」
はぁ、今ので僅かな希望が絶たれたな。
俺は、母さんに一言言って電話を切り静香の方を向いた。
だが、静香も電話をしていたらしくまだ続いている。
ちょっと待つか。
「「………」」
静香は、電話を切ると俺の方を向き
「「はぁ〜」」
同時にため息をついた。
「待ち合わせの相手、やっぱりあんただったみたい。」
「ああ、俺も母さんに聞いて知った。」
「「………」」
「「はぁ〜」」
「なんであんたがため息つくのよ!?」
「はぁ!?つくだろ普通!こんな幼女と一緒に歩くんだぞ!誘拐と間違わなければいいが。」
「わ、私はもう子供じゃないわよ!」
こいつ、毎度の事だが本当に自分が子供って認めないな。
はぁ〜、子供の相手は疲れる。
「ま、お前が待ち合わせの相手ならさっさと買い物してさっさと帰ろうぜ。」
「ええ、早く終わらせましょ。」
さて、何を買えばいいんだろ。
………っ!?
「な、なぁ、静香は、お使いのメモとか持ってきたか?」
「いいえ、私は待ち合わせの人に付き添う感じでいいって言われたから。」
「あ…そうか。」
「?メモにはなんて書かれていたのよ。」
俺は、静香にメモを渡す。
「っ!?な、なによ、これ!」
「知らねぇーよ!」
メモにはこの街のデートスポットが書かれていてそしてこう書かれていた。
『デートスポットで必ず1枚写真を撮ってくること!』
………く、クソがァァァ!!!
と、破り捨てたいところだが………
これを破ってしまうとデートスポットが分からない。
まぁ、行く気ないからいいか。
はい、ビリッと。
「ったく、何を考えているんだが。私は帰るわよ!」
「ああ、俺も帰る。」
俺たちが帰ろうとした瞬間お互いのスマホが鳴り始めた。
電話をしてきた相手は、母さんだった。
「なに、母さん?」
「何も写真を送られずに帰ったらお小遣いはなしにするから、そのつもりで。」
「は!?」
あ、切りやがった。
う、嘘だろ!?小遣いなし!?それはさすがにやばい!
し、仕方ない、ここは静香を説得してさっさと済ませよう!
「静香!………」
俺は、静香を説得しようと静香の方を向くと静香もなにかすごい絶望したような目をしていた。
「ど、どうした?」
「なんでもないわよ。」
「そうか?あ、それよりも……」
「早く行くわよ!」
「え?」
「何ぼやっとしてるの!?早く案内しなさい!」
「分かったよ。」
たぶん静香も脅されたんだろう。
はぁ〜、仕方ないな。
俺は、その後破ったメモを何とか見えるようにして静香と一つ目のデートスポットまで向かった。
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