エピローグ
老婆は死んだ。
俺も死ぬはずだった。
あの時、俺は何気なく宝玉を触れようとした直前に宝玉はそれを拒むかの様に崩壊した。そして、宝玉に眠る膨大な生命力は行き場を失い、それは収まるための受け皿を求めた。
受け皿に選ばれたのは、宝玉の最も近くに位置していた俺だった。
そうして莫大な生命力を得た結果、俺はゾンビとは似て非なる存在になった。不死の宝玉。それは余りにも強大な生命力を秘めていた。
ゾンビを生き返らせる程に。
生命力の受け皿となった体に大きな変化が起こった。胸は鼓動を刻み声帯も回復し歯や顎、筋肉などの肉体の損傷も消え去っていた。姿はほぼ人間と変わらなくなった。
これはどういう事かというと、人間になったのではなくゾンビのままに生命力を高められたのである。おかしな話だが、俺は完成されたゾンビになった。理想的な――ゾンビの理想的な健康体に変わったのだ。
結局、俺はゾンビだった。
この身に収まった生命力は、体を変貌させる位で尽きることは無かった。無限の生命力がこの体をタンクとして貯蔵されている。
残酷な話だ。このまま永遠にゾンビの姿で生きなければならない。
老婆は最期にも呪縛を残したのだ。
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