会議



 昭和三十四年 年末



 前年より再開された満州での戦争は、中国軍の人海戦術返しや日米空母部隊の活躍のおかげで、日米満中韓、環太平洋同盟軍の有利に推移していたものの、ソ連軍も多少負けただけでは屈せず果敢に抵抗し休戦交渉にも応じない、今次の戦はかつての日華事変以上に終わりの見えない泥沼の様相を呈していた。



 同時期 日本海 JN-赤城(航空母艦2代目)艦橋



 戦争再開に伴い日本海には日本海軍、米海軍の空母機動部隊、韓国海軍の駆逐艦等がソ連空軍や海軍からの攻撃への迎撃、そして敵沿岸基地への攻撃の為に展開していた。

 赤城、瑞鶴、ヨークタウン(CV-10)、キアサージの四隻の空母、それらを護衛する艦艇群、対潜哨戒、機雷掃海に当たる駆逐艦群の多国籍機動艦隊で日本海の守りは鉄壁であった。かつて日本海軍にコテンパンにやられたソ連海軍も、一応立ち直りつつはあったが、陸軍や空軍ほど練度も経験もなく、世界有数の戦力を誇る日米空母部隊の敵ではなかった。そして、海や空の脅威がなくなってきた同盟側司令官らは、海軍力による地上部隊支援の次なる作戦を練るため、ここ赤城に集結していた。



「敵地上部隊は今のところ、目立った攻勢には出てきていない。今こそ徹底的に叩いて、モスクワへの道を確保しよう」



「おいおい、モスクワへの道というが、あまり深く攻め込むと逆につけ込まれるぞ。ナポレオン軍のロシア遠征、第二次大戦の枢軸軍の例もある」



「そうか・・・やはり、戦略爆撃の反復で降伏を促すか・・・・・・」



「しかし、奴らは諦めない。というか戦略爆撃で民間人を巻き込んだら、それがプロパガンダに利用されてかつてあなたがた米軍と戦った時の我々、日本軍のように全滅も恐れず突入してくる」



「なんとか早期に終戦の道筋を固めたいが・・・・・・」



 会議は結論を見い出せず、ただ時間は過ぎ、出撃、また出撃で勝ってはいるものの、兵士達の消耗は増えていく・・・・・・

 何より日本軍には支那事変の苦い経験があり、なんとか早期終戦を目指したくはあったが、今回の敵はあの時の国府軍よりしぶとかった。








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