戦後

新日本



 昭和二十一年 夏



 米国カリフォルニア州サンフランシスコにて、日本国と連合国との講和会議が早くも行われ、無事講和条約は締結された。

 日本政府の強い早期講和の希望もあり、史実と違い、中華民国やソ連をも含めての全面的な講和条約であった。

 その主な内容としては台湾、南沙諸島他各租界の中華民国への返還や、開戦後に占領した島々の英米蘭豪への返還。

 南樺太のソビエトロシアへの返還。旧委任統治領(南洋庁)の権利権限放棄。朝鮮半島の独立準備。日本陸海軍の縮小改革等となった。

 これにより、日本は明治維新以降に戦争によって獲得した海外領土を全て失う事となったが、今回は完全な負け戦という事を高野総理自らが国民に向け、積極的に発信していた事、そして戦勝国の米国からの多大な支援の影響もあり、国民の不平不満は抑えられていた。

 また連合国は翌年、新生ドイツとも講和を結び、第二次世界大戦は正式に終結の時を迎えたのである。



 そして、その講和に前後して、正式に勅命を受けた帝国憲法の改正草案が無事に衆議院貴族院両院ともほぼ全会一致の賛成票をもって可決。

 発布された改正憲法は翌年5月より施行される事が決定した。



 昭和二十二年 五月



 改正帝国憲法が施行。

 明治憲法の問題点や矛盾点を洗いざらい修正された新憲法は天皇、内閣それぞれの権限、役割を明確にし、軍隊の指揮権は平時にあっては、陸海両省を統合し新たに設立された国防省の大臣。戦時にあっては内閣総理大臣となった。

 また、条文中の臣民を国民と改め、基本的人権、国民の権利や義務についても言及。貴族院は廃止、議会は一院制となった。

 また、新憲法施行に伴う形で普通選挙法が全面改正。男女や納税額も問わず、日本国籍で成人となれば誰でも選挙権を行使出来るようになった。



 敗戦から3年にして、明るい兆しが見えてきた新生日本だったが・・・










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