ナンバリング考えるのも難しいのよの
思いを告げたあと、そのままみうは軽く俺の手にすっと軽く触れてきた。そんなみうがかわいくて、愛おしくて。お互い、そのまま手を握り返すと指を絡めるように。
我が家に帰ると静けさしかなかった。美姫がいて、まゆがいて、俺達がいて馬鹿みたいに騒いでいたのに。もう4人で騒ぐことはない。
でもそれは俺が選んで、みうは何も悪くない。
なのに。みうはボロボロと涙を流している。でもその横で俺も泣いていた。美姫みたいに俺のために怒ってくれる人はもういない。
「ねぇ。もう三原さんとの間で抱えていた秘密を教えてくれない?」
やっぱりみうはよく周りを見えてる。話してもいい関係なのか。みうは面白がって「あれ」を周りに、吹聴するタイプではないのはことは信頼できる。
じゃあどうするか。真実を言えば途端に嘘っぽくなるし、嘘を言えばそれはみうに嘘を浮くことになる。それだけは本当の俺がしてはいけない、プライドみたいな安っぽいでも譲れない一線だ。
だから告げよう。俺の罪を。
「ここから先は美姫も知らない俺とまゆだけの秘密なんだ」
「うん」
「あんまり話したい内容じゃないんだけでも。
秘密を知ったらみうは俺から離れていっちゃうかもしれないけど。みうにだけは嘘もごまかしもしたくないから」
「俺さ、人を殺したことがあるんだ」
「嘘でも冗談でも聞きたいわけんじゃないのよ」
「嘘でも冗談でもないんだ。
この手が真赤に染まったのをよく覚えてるんだ」
「相手はまゆのお父さん、腕が震えてるまゆが包丁を握ってて男が倒れてて。
そんなまゆなのに。吸い寄せられるように気がついたらまゆの手を握って、迷うことなく包丁をその男に突き刺したんだ」
みうは絶句している。まぁ振られるわな。だってこんな重い男と付き合うとか人生の選択肢に存在していないはずなのに。
「そんなに厳しいこと抱え込んで……」
そっと抱きしめられた。
「3人のうち誰を選ぶとかそんなことをまた重しにして」
みうの顔は見ることができないけどすすり泣いてるのはわかる。
「なんでみうが泣いてるん?」
「そんな秘密を抱えて、相談することもできないで、貴方の苦しみを知ってたらって思うとだめなの。」
「まぁ一応正当防衛だったし……」
「そんなことじゃない! 人の命を絶つ苦しみは私にわからないけど。でもそうやっていっぱい泣いて、人に話せないほどの苦しみで。気がついてる? 瞳から涙がこぼれそうになってるわよ?
「このことで泣かないって決めたんだ」
「思いっきり泣いて話をする場面よ?」
「だってまゆがあんなに苦しんで。そばで安心させてあげたくて。でも美姫もみうも俺のことが言ってくれて。選ぶなんてできるほどの人間じゃなくて。
でも選ばなきゃいけなくて」」
「だからなんだね。三原さんをやたら心配してたのは」
「まぁそれもあるな」
でもネコを飼うってできるようになったみたいだし。そっと遠くから見守るようになれたかな」
「その三原さんを見る目が『愛おしい』って感じだったのは気のせい?」
「いや間違ってない。まゆってかわいくね?」
パーンと気持ちいいビンタが返ってきた。ビンタって結構痛いのね。
俺がぐっとみうに近づいて
「それでも1番はみうなんだ」
「そこは素直に信じるけど。
なんかダメホストに貢いでる気分だわ」
俺も同じこと思ってた。
今まで秘密にしてきたけど 璃央奈 瑠璃 @connect121417
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