今まで秘密にしてきたけど

璃央奈 瑠璃

1

3人がバラバラに歩いていった。どれほどの時間が経ったのだろう。答えを出さなければ、いやこれは言い訳だ。すっと前から思っていて、そして見ないふりをしていた。

 俺は長谷川みうが好きなのだ。

 追いかけなければいけない。たとえ2人を悲しませることでも。俺は俺の気持ちに正直になりたい。

 みうを追いかけるために走ろうとして、ブロック塀の角のすぐそこにみうがいた。

 顔を見ただけでわかった。いつも自信満々のみうは作り物で、ホントはもっと繊細で泣き虫だと。


 だってほら。今のみうは大粒の涙を流しながら世界で1番きれいな笑顔を見せてくれたから。


「神楽坂さんと三原さんはどうするの? まさかこの期に及んで3股かけるつもりでいるの?」

「バカ言うな。やっと手に入ったんだ。俺の宝物が。

すっと探してた。俺の生きる意味を。

みう。絶対俺が幸せにしてやるからな」

「付き合ってもない今の状態で、意味のとり方は、まぁそれは女の子次第だけど……。重いわよ?」

「嬉しそうな笑顔で言われても自覚できないよ」

 肩をポンポンと叩いてやるととびっきりの笑顔で振り向きざまに

「愛してくれてありがとう」


 それ死亡フラグだぞ……。

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