スペースデブリ

ベル

スペースデブリ

ゴミ、ゴミなのである。

いずれ回収しなければならないゴミなのである。

そのような存在にすら物語を感じてしまう

人々は夢追い人か、はたまた自分を重ねて

しまっているのか。

遠くの星まで飛んでいくように

未来へひとっ飛び、滞空時間2秒。

結局時間に従うしかない。

冷たい感覚で埋め尽くされた足下も

現実かどうかなんて分からない。

ただ遠くを眺めた時に思うこと、

この世界の不必要なものが指し示すものも

あって、ただじっくり眺めた時に

見過ごしていた希少金属のような

存在に気づくのかもしれない。

ゴミはゴミ箱へ、それは途中経過。

自身で終わらせたつもりのことも

後処理は他の誰か。

人工衛星を打ち上げ始めた当初

地球から僅かな距離の宇宙が

それらの残骸で埋め尽くされるなど

予想しただろうか?

未来が分かっていたのなら

スペースデブリは存在しなかったのではないか。

だが、その未来が見えていたなら

片手一つで世界が分かることも

なかっただろう。

未来へ飛ぶことのできない我々が

結果という名の途中経過で学んでいくこと、

それが今を面白くしているのかもしれない。

使い古されたものに魂を感じる時がある。

空の上に散らばっているものたちは

どんな思いなのだろうか。

そういう風にふと考えてしまう。

自分には関係のないところに

浮かんでいる無数の人工衛星の骸に

自分の行く末を重ねてみたりするのである。

ゴミ、ゴミなのである。

いずれ役目を終えていくのである。

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スペースデブリ ベル @bell_51

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