第12話


 目を冷ますとそこは、依然としてノーマン達と会話をしていたあの空間のようだった。

 そしてその空間で自分はまた気を失ったようだ。




「起きましたか?」

「......」



 自分の頭上から声がする。

 誰の声かと波瑠は揺蕩うたゆた思考の中で逡巡する。

(ああ、確かこの声はオルガさんだ。

 オルガさんが自分の頭の上に.....上に.....?)




「....ッ!?」


 パチリと目を開けて見ると、そこにはやはり想像通りオルガの姿があった。

 そして波瑠はそのオルガの胸になだれ込む形で抱きしめられていたのだ。



「申し訳ありません波瑠。横たえてやっても良かったのですが、こちらの方が私も楽でしたので」

「いえ!私の方こそ重かったでしょう!」

「いえ....」



 慌てて体を退ける。

 オルガは青白い顔をしてそれを見送った。



「オルガさん。具合が悪いのですか?」

「....ええ。正直予想外でした。」

「え?」

「あ、気がついたんだね」




 ガチャリと音を立ててドアが開く。

 それと同時に声が響いた。

 声の方は振り向くとノーマンと、その後ろにジハルがいて2人で入室した。

 そういえばガルダンとフォーマが居ない。

 自分が気絶している間に入退室があったようだ。



「君、我らの魔力をだいぶ吸い取ってくれたんだよ」

「え!?」

「咄嗟にオルガとジハルが我を波瑠から離したため、我は半分程の消費で済んだが、ノーマンは大半を持っていかれた。もうすぐフォーマが回復薬を持ってくるだろう」



 ノーマンの説明に波瑠は顔を青くさせた。

 言っている意味は良くわからないが、青白い顔をしたオルガとノーマン、そして不安そうにノーマンに寄り添うジハルによって現状、物凄く大変なことをしてしまったことはわかった。

 特に王族のノーマンに危害を加えたというなら死刑ものなのではないかとすら思う。



「も、申し訳ありません」

「構わないよ。それだけ君の魔力は強力かつ操作不能という事だ」


 半泣きになって頭を下げる波瑠にカラカラと笑って許してくれた。

 ノーマンは器が大きい。



「魔力が強力とは?」

「貴方の魔力鑑定結果が出たのですよ」


 波瑠の質問に答えたのはジハルだ。

 ジハルの手には先ほど使っていた鑑定の石板が収まっていた。



「鑑定結果はこれだ」



 ノーマンの指示でジハルが波瑠の目の前でその石板を開示した。

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