第11話
その様子を見ていたノーマンが突然大声で笑い出す。
びっくりしてノーマンを見るが、大口で笑っている姿すら麗しい。
イケメンって凄い。
「殿下」
「はっはっはっは!!いや、すまない。豆鉄砲を食らったような顔のオルガは珍しいからな。くっく....これは傑作だ。」
「殿下」
未だに笑いが治らないノーマンにオルガが冷たく声をかけた。
何がそんなに可笑しいのか波瑠は首を傾げるがガルダン達をみても居心地悪そうな表情を浮かべるだけだった。
「ではセトカワハル。ここにいる、オルガ・フロスト、ジハル・ディテール、ガルダン、フォーマ、そしてリセッタ王国第三皇子ノーマン・リセッタ。この五人が君のステータスを見届ける。我達に対する信頼に敬意を持って今後も君の力になる事を約束しよう」
ノーマンはステータスメーターに手をかざす。
ポウっと光に包まれたそれはすぐに消えて無くなったがノーマンは満足そうに頷いた。
「いま王家の力でステータス全開示に設定し直した。これで全てが見られる。波瑠、これを持て」
「はい」
差し出された石盤をそっと持つ。
しかし、何も起こらない。
波瑠は戸惑いの表情を浮かべてノーマンを見た。
「大丈夫。我とオルガが君の魔力の補助をしよう。少し触れるね」
「はい」
どうやら補助とは自分の魔力を他人に注いでその力を使って魔力の出力を操るのだそう。
背中に2人の手が触れる。
服越しではあるが男性に手の感覚に胸が高鳴った。
触れられるなんて事は今までなかったし。
まぁ主治医の先生は良く触ってたがおじいちゃん先生である。────論外。
耳元で優しくノーマンが囁く。
「いいかい波瑠。今から魔力を君に流す。背中が温かくなるだう。その温かさを流れ指先に集まるように想像するんだ。いくよ」
「はい」
2人が息を詰める。
背中がふわふわと温かくなってきた。
優しい陽だまりのようなそんな温かさだ。
波瑠は無性に泣きたくなるような感覚に触れる。
しかし波瑠はこの温かさに触れているだけの時間はない。
ふっと息を1つ深呼吸をしてノーマンが教えた通りに暖かさを手に移動するように意識を集中させた。
中々難しい感覚的な動き。
しかし、少しだけだがその感覚を捉える。
シーズル国では教えてくれなかった魔力の使い方。
そうか、こうやるのか。
波瑠は感覚を掴もうと集中力を高めた。
(もうすこし.....)
パチンッ
「────!!」
「ッ!?」
なにかが弾ける音。
後ろにいるノーマンとオルガが声にならない声を出す。
どうしたの、と声をかけようと振り返る最中、波瑠は意識を手放した。
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